Logic Pro初心者向け|環境音・効果音の作り方ガイド(フィールドレコーディング対応)
こんにちは、kawaharaです。
この記事では、Logic Proを使って環境音(アンビエント)や効果音(SE)を、初心者の方でも迷わず作れるようにすることを目標に解説していきます。
映画やゲーム、Vlog、BGMなどで聞こえてくる「街のざわめき」「雨の音」「ボタンを押したときのピッ」という音は、曲のクオリティをぐっと底上げしてくれる存在です。ですが、いざ自分で作ろうとすると「どこから手をつければいいの?」と止まってしまいがちですよね。
結論から言うと、Logic Proの内蔵ライブラリ+スマホで録った音+少しのエフェクトがあれば、十分実用的な環境音・効果音を作ることができます。
この記事では、難しい音響理論は一旦おいておき、
- Apple Loopsで環境音を素早く用意する方法
- スマホで街の音を録ってLogic Proに取り込む手順
- Alchemyなどのシンセで「キラッ」「シュワッ」といった効果音を作る方法
- リバーブやディレイで「それっぽく」仕上げるコツ
といった実践的な手順を、画面上のどこをクリックすればいいかまで具体的にまとめました。
Logic Proで環境音・効果音を作る全体像(結論と考え方)
まず最初に、Logic Proで環境音・効果音を作るときのざっくりとした流れを共有しておきます。
結論としては、次の4ステップで考えると迷いにくくなります。
- ① 素材を集める(Apple Loops/録音/シンセ)
- ② タイムライン上で重ねてシーンを作る
- ③ エフェクトで質感と距離感を整える
- ④ 書き出し設定をして、必要な長さで書き出す
イメージとしては、ジオラマを作るように「音のミニチュア空間」を組み立てていく感じです。家(メインのBGM)の周りに、木や街灯、道路などを置いていくと世界観が見えてくるように、環境音・効果音を置いていくと、曲や動画の世界観がはっきりしてきます。
次の章からは、それぞれのステップを「理由 → 手順 → まとめ」の順番で解説していきます。
環境音と効果音の違いをサクッと整理
ここで一度、「環境音」と「効果音」の違いも簡単に整理しておきましょう。
- 環境音(アンビエント):街のざわめき・雨音・森の虫の声・店内のガヤガヤなど、背景にずっと鳴っている音
- 効果音(SE):ボタンを押した音・足音・UIのピコッという音・魔法の「シュワッ」など、瞬間的に鳴る音
環境音は「空気感」を作る役割、効果音は「アクション」を伝える役割というイメージで考えると、どんな音を足せばいいか決めやすくなります。
一番かんたん:Apple Loopsで環境音を素早く用意する
結論から言うと、まずはApple Loopsから環境音を探すのが一番かんたんです。自分で録音しなくても、すぐに使える高品質な環境音がたくさん入っています。
理由は、Apple Loopsならテンポやキーにある程度追従してくれるため、BGMと一緒に使っても違和感が出にくいからです。また、検索タグも付いているので、欲しい雰囲気の音をすぐ見つけられます。
Apple Loopsから環境音を探す手順
Logic ProでApple Loopsから環境音を探す手順は次の通りです。
- 画面右上あたりの「ループブラウザ」アイコン(小さなループマーク)をクリック
- 右側に出てくる「ループブラウザ」で、上部の検索ボックスにキーワードを入力 例:「ambience」「crowd」「rain」「city」「nature」
- カテゴリフィルタで「サウンドエフェクト」や「テクスチャ」を選択してもOK
- 気になるループをクリックすると、その場で試聴できます
- 使いたいループを見つけたら、ループをドラッグしてタイムライン上の好きな位置へドロップ
この時、BGMトラックの下あたりに「環境音専用トラック」を1本作ってまとめておくと、後から音量調整がしやすくなります。
ループを組み合わせて「一つのシーン」を作る
Apple Loopsは、1つだけでも便利ですが、複数組み合わせることで一気に「シーン感」が出ます。
- 例)カフェのシーンを作る場合 ・「crowd」系(人の話し声・ざわめき) ・「room tone」(部屋の空気感) ・「coffee」や「cup」系(カップを置く音)
- 例)雨の夜のシーンを作る場合 ・「rain」系(雨の音) ・「traffic」系(車の走る音) ・うっすらパッド系の環境音を重ねる
それぞれのループの音量を少しずつ変えたり、パン(左右)を振り分けることで、立体感のある環境音に仕上がります。
まとめると、Apple Loopsは「既に調理済みの素材」を並べて世界観を作るイメージです。最初はここから始めて、慣れてきたら自作の録音素材も足していきましょう。
スマホ+Logic Proで「自分だけの環境音」を作る(フィールドレコーディング)
次は、スマホで録った音(フィールドレコーディング)をLogic Proに取り込んで使う方法です。身の回りの音を録るだけで、他の人と被らないオリジナルの環境音が作れます。
理由として、街の音・自宅の環境音・電車のホームなど、あなたの生活環境そのものが「唯一無二のサンプルライブラリ」になるからです。
スマホで録音 → Logic Proに取り込む手順
iPhoneを例に、フィールドレコーディングの基本的な手順を紹介します。
- ① iPhoneの「ボイスメモ」アプリを起動
- ② 録りたい場所(カフェ・駅・自宅の窓際など)で録音ボタンをタップ
- ③ 10〜60秒くらい録音して停止
- ④ 録音したファイルの「共有」ボタンから「AirDrop」や「ファイルに保存」でMacへ送る
- ⑤ Mac側でLogic Proのプロジェクトを開き、Finderから録音ファイル(m4aなど)をそのままタイムラインへドラッグ&ドロップ
トラックの種類は、タイムラインにドロップしたときに自動で「オーディオトラック」が作成されるので、そのまま使用してOKです。
ノイズ処理と音量バランスを整える基本操作
フィールドレコーディングした音は、そのままだとノイズが多かったり、低音がモコモコしていることが多いです。最低限、次の処理をしてあげると使いやすくなります。
- ① ノイズのカット ・オーディオリージョンを選択して、トラックの「インスペクタ(左側)」で「チャンネルEQ」を挿入 ・80Hz〜120Hzあたりをハイパスフィルターでカットすると、ゴゴゴという低音ノイズが減ります
- ② 音量を安定させる ・「コンプレッサー」をインサート ・プリセットから「Voice - Gentle Compressor」などを選び、Threshold(スレッショルド)を-20〜-10dB周辺で調整
- ③ 必要な部分だけを使う ・オーディオリージョンの端をドラッグして、不要な部分(ガサガサ音が入った箇所など)をカット
まとめると、EQで不要な低音を切り、コンプで音量を揃えて、静かにしたい部分はカットするという3ステップを意識すると、フィールドレコーディング素材が一気に使いやすくなります。
シンセやオーディオ加工で効果音(SE)を作る基本テクニック
次は、「ピコッ」「キラッ」「シュワッ」などの効果音を、自分でゼロから作る方法です。ここでは、Logic Pro標準のシンセ「Alchemy」と、オーディオの加工テクニックを使います。
理由として、Alchemyはプリセットが豊富で、フィルターやエンベロープを少しいじるだけで、UI音・魔法音・上がっていくSEなどを簡単に作れるからです。
Alchemyで「キラッ」「ピコッ」系のSEを作る手順
まずは、Alchemyを使ってシンプルなUI系サウンドを作ってみましょう。
- ① 新しいソフトウェア音源トラックを作成 ・メニューの「トラック」→「新規トラック」→「ソフトウェア音源」を選択
- ② チャンネルストリップのインストゥルメントスロットで「Alchemy」を選択
- ③ Alchemyの上部「ブラウザ」から、カテゴリで「Sound Effects」や「Synth」を選ぶ
- ④ 気になるプリセット(例:「Click」「UI」「Bell」など)を選択
- ⑤ エンベロープ(ENV)で「アタック短め・リリース短め」にして、瞬間的な音にする ・Amp Envの「A(Attack)」を2〜10ms程度まで短くする ・「R(Release)」も0.1〜0.3秒程度にしてスッと消えるようにする
これだけでも、ボタンを押したときのピコッとした音や、シンプルなUI音を作ることができます。ピッチ(音程)を変えたい場合は、MIDIノートの高さを上下させるだけでOKです。
オーディオを加工して「シュワッ」「逆再生」系の効果音を作る
もう一つよく使うテクニックが、既存のオーディオを加工して効果音にしてしまう方法です。
- ① 適当なシンセパッドやホワイトノイズを用意 ・ソフトウェア音源で「Pad」や「Noise」系の音色を鳴らして、1〜2秒録音
- ② オーディオに変換(バウンス) ・そのリージョンを右クリック →「リージョンをオーディオファイルにバウンス」
- ③ 逆再生して「シュワッ」とさせる ・オーディオリージョンを選択 → 左上の「ファイル」タブ →「機能」→「逆再生」をオン
- ④ フィルターとリバーブで質感調整 ・チャンネルEQで高域を少し持ち上げる(8kHz周辺) ・リバーブ(Space Designerなど)をインサートし、ミックスを20〜30%程度に
こうすると、「フェードインしながら近づいてくる」ような効果音が作れます。曲のサビ前や、動画の場面転換などでとても使いやすい音です。
まとめると、シンセで作るSEは「クリック系」+「ノイズやパッドの逆再生」の2パターンを覚えておくだけでも、かなり幅広く応用できます。
リバーブ・ディレイ・オートメーションで空間と動きをつける
環境音や効果音は、エフェクトでどれだけ「距離感」と「動き」をつけられるかでクオリティが変わります。ここでは、最低限覚えておきたい処理に絞って解説します。
リバーブで「近く/遠く」をコントロールする
リバーブは「その音がどんな空間で鳴っているか」を表現するエフェクトです。環境音・効果音の距離感をコントロールするのにとても重要です。
- ① トラックにリバーブを挿入 ・チャンネルストリップの「オーディオFX」→「Reverb」→「ChromaVerb」などを選択
- ② プリセットから「Small Room」「Plate」「Hall」などを選ぶ
- ③ 「Mix」または「Wet」量で調整 ・近くに聞かせたい音:10〜20%程度 ・遠くに聞かせたい音:30〜50%程度
- ④ 「Pre-Delay」で距離感の微調整 ・10〜30ms程度にすると、音の輪郭を残しつつ空間を感じさせられます
例えば、「足音は少し近め」「街全体のざわめきは遠くに」といったように、リバーブ量を変えてレイヤーしていくと、立体感が出てきます。
オートメーションでフェードイン/フェードアウトを描く
環境音・効果音は、急にオン・オフするより、少しフェードさせた方が自然に聞こえます。そのために使うのが「オートメーション」です。
- ① キーボードの「A」キーを押してオートメーション表示をオン
- ② トラック上に赤い線(ボリュームカーブ)が表示されるので、線をクリックしてポイントを追加
- ③ たとえば、環境音が始まる1〜2小節前にポイントを打ち、徐々に上がるカーブを描く
- ④ 終わりも同様に、1〜2小節かけてボリュームを下げるカーブを描く
このフェードカーブを付けるだけで、「シーンに自然に入ってきて、自然に消えていく」印象になります。動画のカットや曲の展開に合わせて、カーブの長さを調整してみてください。
まとめると、リバーブとオートメーションを使うことで、ただ鳴っているだけの音から「ストーリーのある音」へと変化させることができます。
環境音・効果音をパーツとして書き出す&プロジェクト整理のコツ
最後に、作った環境音・効果音を単体のファイルとして書き出して、後から使い回せるようにしておくコツを紹介します。
理由として、一度作った環境音・効果音を「マイライブラリ化」しておくと、次の曲や動画制作で制作スピードが一気にアップするからです。
1トラック単位で書き出す手順
複数トラックをまとめて「1つの環境音ファイル」として書き出したい場合は、リージョンを一度まとめてからバウンスします。
- ① 書き出したい環境音や効果音が鳴っている範囲を、上の「ルーラー」でドラッグして選択(黄色のループ範囲が表示されます)
- ② メニューの「ファイル」→「バウンス」→「プロジェクトまたはセクション」を選択
- ③ 出てくるウィンドウで「PCM」をオン、フォーマットを「WAV」・ビット深度「24bit」あたりに設定
- ④ ファイル名に 例:ambient-cafe-night_2025.wav のように、シーン名+バージョンを付ける
- ⑤ 保存先を「自分用のSEフォルダ」にして、ジャンルごとにサブフォルダを作る 例:SE/ambient、SE/ui、SE/rise など
こうしておくと、次回からはFinderからドラッグするだけで、自分だけの環境音ライブラリを呼び出せるようになります。
この記事の内容をまとめると
ここまでの内容を、もう一度短く整理します。
- 環境音は「空気感」、効果音は「アクション」を伝える役割
- 最初はApple Loopsで環境音を用意し、シーンごとにループを重ねていく
- スマホ録音を取り込めば、オリジナルの環境音ライブラリが作れる
- Alchemyやオーディオ逆再生で、UI音や「シュワッ」といったSEを自作できる
- リバーブ・ディレイ・オートメーションで距離感と動きをつけると一気にプロっぽくなる
- 書き出して自分用のSEフォルダを作っておくと、次回からの制作がとても楽になる
まずは、この記事のステップ通りに「1つのシーン(カフェ・雨の夜など)」を作ってみてください。慣れてきたら、他の記事で解説しているミックスやマスタリングのテクニックと組み合わせて、さらにクオリティアップしていきましょう。

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