Logic Pro初心者向け|オーディオとMIDIの違いと使い分け完全ガイド

Logic Pro初心者向け|オーディオとMIDIの違いと使い分け完全ガイド

こんにちは、kawaharaです。

この記事では、Logic Proでよく出てくる「オーディオ」と「MIDI」トラックの違いについて、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

レッスン動画や解説サイトを見ていると「ここはMIDIで打ち込んで」「ここはオーディオで録ります」などと説明されますが、最初はそもそも何が違うの? どっちを使えばいいの?と迷いやすいポイントです。

結論からお伝えすると、楽器をあとから細かく修正したいならMIDI、歌やギターなど「音そのもの」を録りたいならオーディオを使う、というイメージでOKです。

この記事はカテゴリの基礎記事です。Logic Proのほかの記事と合わせて読むことで、DTM全体の流れが理解しやすくなるように構成しています。

ここからは、結論 → 理由 → 手順 → まとめの流れで、順番に整理していきましょう。

Logic Proでの「オーディオ」と「MIDI」の違い【結論】

一言でいうと「録音した音」か「楽譜データ」かの違い

最初に、できるだけシンプルに結論だけを整理しておきます。

  • オーディオトラック:マイクで録った歌やギター、書き出したBGMなど、波形として保存された「音そのもの」を扱うトラック
  • MIDIトラック(ソフトウェア音源):ピアノロールでポチポチ打ち込む音符データなど、「どの高さの音を・いつ・どれくらい鳴らすか」という命令データを扱うトラック

イメージとしては、

  • オーディオ = 完成した写真
  • MIDI = あとから色や形を変えられるイラストのレイヤー付きデータ

というように考えるとわかりやすいです。写真は撮ってしまったものを大きく変えるのは難しいですが、レイヤー付きデータなら後から色や形を柔軟に変えられますよね。

どっちを使えばいい? ざっくりした使い分け

ざっくりとした使い分けは次の通りです。

  • 歌・ギター・ベースなど生楽器をマイクやケーブルで録る → オーディオ
  • シンセ・ドラム・ピアノなどをマウスやMIDIキーボードで打ち込む → MIDI(ソフトウェア音源)
  • あとからコード、リズム、音色を細かく変える可能性が高いパート → できるだけMIDIで作っておく

この「ざっくりルール」をベースにして、詳しい理由とLogic Proでの具体的な操作を見ていきましょう。

オーディオとMIDIの役割イメージ【理由】

オーディオ:録音された「完成した音の波形」

オーディオは、マイクやケーブルから入ってきた音を、そのまま録音したデータです。Logic Proのトラック上では、波形(ギザギザの形)として表示されます。

できることのイメージは、

  • 不要な部分を切り取る(カット・分割)
  • 音量を上げ下げする
  • リバーブやディレイなどのエフェクトをかける
  • ピッチ補正(Flex Pitch)やタイミング補正(Flex Time)を行う

つまり、録音したテイクを仕上げていくための「仕上げ用素材」というイメージです。

MIDI:あとから自由に変えられる「楽譜データ」

MIDIは、音符の高さ・長さ・タイミング・強さなどを指示するデータです。そのデータを、ソフトウェア音源(シンセやピアノ音源など)が読み取って音を出します。

できることの例は、

  • 後からコード進行をまるごと変える
  • メロディの音程を1音だけサッと修正する
  • ドラムのスネアだけタイミングをずらす
  • 同じMIDIデータでピアノ音色→シンセ音色に差し替える

つまり、MIDIは作り途中の曲を何度でも作り直せる、やり直しのきく「設計図」のような役割です。

Logic Proでのトラック作成と基本操作【手順】

オーディオトラックを作成して録音する手順

まずは、歌やギターなどを録るためのオーディオトラックの作り方です。

  • 画面上部メニューから「トラック」→「新規オーディオトラック…」をクリック
  • もしくは、トラックの一番下にある「+」ボタンをクリックし、「オーディオ」を選択
  • 入力欄で「入力:Input 1 / 2」など、マイクやギターを挿しているインターフェイスのチャンネルを選ぶ
  • トラックヘッダーの「R(レコーディング)」ボタンを押して赤く点灯させる
  • 画面上部の●(録音ボタン)を押すと録音がスタート

録音が終わると、タイムライン上に波形が表示されます。これがオーディオデータです。

MIDI(ソフトウェア音源)トラックを作成して打ち込む手順

次に、ピアノやシンセ、ドラムなどを打ち込む用のソフトウェア音源トラック(MIDIトラック)を作る手順です。

  • トラック下部の「+」ボタンをクリック
  • 表示されたダイアログで「ソフトウェア音源」を選択
  • 右側のライブラリ(ショートカット:Yキー)から、使いたい音色(ピアノ・シンセ・ドラムなど)をクリックして選ぶ
  • タイムラインの空白部分をControl + クリック →「空のMIDIリージョンを作成」
  • 作成された緑色のリージョンをダブルクリックすると、下部にピアノロール(MIDIエディタ)が表示
  • 鉛筆ツールで音符を打ち込む、またはMIDIキーボードで録音して演奏を記録する

このように、緑色のリージョンがMIDI、青色やオレンジ色のリージョンがオーディオという見た目の違いも覚えておくと便利です。

MIDIからオーディオに書き出す(バウンスインプレイス)手順

曲作りの終盤では、MIDIをオーディオに変換して軽くすることがあります。これを「バウンスインプレイス」と呼びます。

  • オーディオに変換したいMIDIリージョンを選択
  • 上部メニューから「ファイル」ではなく「トラック」→「バウンス」→「リージョンをバウンス(インプレイス)」を選択
  • ダイアログで「オーディオファイルを作成」にチェックが入っていることを確認
  • 必要に応じて「インサートエフェクトを含める」かどうかを選ぶ
  • 「OK」を押すと、その場に新しいオーディオトラックが作成され、波形として書き出される

バウンスしてしまっても元のMIDIトラックは残せるので、「とりあえずコピーをバウンスしておく」という運用がおすすめです。

オーディオとMIDIの使い分けパターン【実践例】

よくあるジャンル別の使い分けイメージ

実際の制作シーンで、どう使い分けるのかをイメージしやすくするために、パートごとの例を挙げてみます。

  • ボーカル:マイクで録るのでオーディオ一択
  • ギター:生演奏ならオーディオ。打ち込みギター(バッキングなど)はMIDI
  • シンセ・パッド・リード:基本はMIDIで作り、仕上げの段階でオーディオにバウンスすることが多い
  • ドラム:EDM・kawaii・lofi系ならMIDI中心。サンプリングしたループ素材はオーディオで扱う
  • 環境音・効果音:効果音ライブラリ・フィールドレコーディングなどはオーディオ

このように、「演奏そのものを残したいパート=オーディオ」「後から何度も作り直したいパート=MIDI」と覚えておくと、迷いにくくなります。

制作の流れでの使い分け(曲の進行に合わせて)

曲作りのステップに沿って見ると、こんな流れがイメージしやすいです。

  • ① アイデア出し・作曲段階:ほぼMIDI中心(コード・メロ・ベース・ドラム)
  • ② アレンジ固め:一部のパートをオーディオループに差し替えたり、サンプル素材(オーディオ)を追加
  • ③ レコーディング:ボーカルやギターなどをオーディオで録音
  • ④ ミックス準備:重くなってきたMIDIをバウンスしてオーディオ化し、トラック数を整理

最初から完璧に使い分けようとする必要はありません。「とりあえずMIDIで組んで、固まったらオーディオにする」でも十分です。

よくある疑問とつまずきポイント【Q&A】

Q. すべてMIDIで作るのはダメ?

結論から言うと、まったく問題ありません。むしろ初心者のうちは、ほとんどMIDIだけで完結させる方が編集もしやすく、おすすめです。

ただし、プラグインをたくさん挿した重いシンセをいくつも立ち上げていると、

  • 再生がカクつく
  • レイテンシー(遅延)が増える

などの問題が出てくるので、そうなってきたら重いトラックから順にオーディオにバウンスしていくと快適になります。

Q. オーディオしか持っていない素材はどうすればいい?

Loop素材や効果音など、最初からオーディオのものはそのままオーディオトラックで扱えば大丈夫です。

テンポを合わせたい場合は、

  • リージョンを選択 → 上部の「Flex」ボタンをオン
  • トラックヘッダーで「Flex Time」を選び、「ビート」や「スライス」などを選択

といった手順で、BPMに合わせて伸び縮みさせることができます。

Q. MIDIをオーディオにしたあと、もう戻せない?

バウンスした後でも、元のMIDIトラックを残しておけばいつでもやり直し可能です。

  • MIDIトラックをミュートにして残しておく
  • どうしても編集し直したくなったら、MIDIを修正して再度バウンス

「バウンス=一度きりで後戻りできない」というイメージが付きがちですが、MIDIを消さない限りはいつでも再チャレンジできます

まとめ|まずは得意な方から始めてOK

この記事のポイントおさらい

最後に、この記事の内容を簡単に振り返っておきます。

  • オーディオは録音された完成した音(波形)、MIDIはあとから自由に変えられる楽譜データ
  • 生楽器・ボーカル → オーディオ、シンセ・ドラム → MIDI という使い分けが基本
  • Logic Proでは「+」ボタンからオーディオ/ソフトウェア音源トラックを作成できる
  • 曲が重くなってきたら、MIDIをバウンスインプレイスでオーディオ化すると快適
  • MIDIトラックを残しておけば、バウンス後もいつでもやり直しOK

最初のうちは、細かい理屈よりも「まずはMIDIで形を作って、録音が必要なところだけオーディオで録る」くらいの感覚で十分です。

少しずつ他の記事も読みながら、「オーディオ」と「MIDI」の扱いに慣れていきましょう。

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