Logic Proミックスのやり方|全体の流れをステップ解説【初心者向け】
こんにちは、kawaharaです。
この記事では、Logic Proで「1曲を最後までミックスする」ときの全体の流れを、初心者向けにやさしくまとめています。ミックスは「音のバランス調整」とよく言われますが、実際には準備 → バランス → 音作り → 空間づくり → 仕上げという、いくつかのステップに分かれています。
スタジオでのミックス作業を料理にたとえると、下ごしらえ(トラック整理)→ 味付け(EQ・コンプ)→ 盛り付け(リバーブ・パン)→ 最終チェック(マスター処理)という流れに近いイメージです。
また、この記事はLogic Proミックスカテゴリの基礎記事です。まずはここで全体像をつかんでおき、必要に応じて各詳細記事(EQ・コンプ・マスタリングなど)を読んでいく構成になっています。
「どこから手をつけたらいいか分からない」「ついプラグインを挿す順番で迷ってしまう」という方は、この記事の流れを自分用のチェックリストにしてもらえればOKです。
結論として、ミックス全体の流れは次の5ステップです。
- ① プロジェクトの整理と準備
- ② ラフバランス(音量・パン)の調整
- ③ EQ・コンプを使った「聞きやすさ」の調整
- ④ リバーブ・ディレイなどで空間を作る
- ⑤ バス・マスター処理とエクスポート
ここからは、それぞれのステップについて「結論 → 理由 → 手順 → まとめ」の順番で解説していきます。
ミックス前にやるべき「準備」とプロジェクト整理
まず最初の結論として、ミックス前の「片付け」ができていると、後の作業が一気に楽になります。トラック名・色・フォルダを整えるだけで、プラグインを挿すスピードも、ミスの少なさも変わります。
理由はシンプルで、画面が散らかった状態だと「どのトラックが何の音か」毎回確認するストレスが増え、耳ではなく目で作業してしまうからです。ミックスは集中力が必要な作業なので、スタート時点で余計な判断を減らしておくことが大切です。
トラック名・色分け・フォルダ(トラックスタック)の整理
まずはプロジェクトを「見た目」から整えます。操作の流れは次の通りです。
- トラックヘッダ左側の名前をダブルクリックして、「Kick」「Snare」「Bass」「Lead」など、役割が分かる名前に変更
- トラックヘッダを右クリック → 「トラックヘッダの色を表示」 にチェック → カラーを設定
- ドラム類をまとめて選択 → メニューの「トラック」→「トラックスタックを作成」→「サミングスタック」を選択し、「DRUM BUS」などの名前を付ける
- 同様に「BASS」「SYNTH」「VOCAL」などもスタックにまとめる
これで、ミキサー画面(ショートカット:Xキー)を開いたときも、どのトラックがどのグループか一目で分かるようになります。
不要なテイク・ミュートトラック・使っていないプラグインを整理
次に、ミックスの邪魔になるものを先に片付けます。
- 別テイクで使わないリージョンは右クリック → 「リージョンをミュート」または削除
- 試しに入れてそのままのトラックは、ソロで確認して本当に必要かチェックし、不要なら削除
- インサートスロットに挿したままバイパスしているプラグインが多い場合は、思い切って一度外す
まとめると、「視界」と「CPU負荷」を軽くしてからミックスを始めるのがポイントです。これだけでも後の作業ミスが減り、判断スピードが上がります。
最初にやるべきはプラグインではなく「ラフバランス」
次の結論は、ミックスの最初は必ず「音量とパン」でラフバランスを作ることです。EQやコンプを挿す前に、フェーダーとパンだけで「なんとなく曲として成立している状態」を目指します。
理由として、ミックスの聞こえ方の多くは音量バランスと定位(左右の位置)で決まるからです。ここが整っていないと、高価なプラグインを挿しても「なんとなくごちゃついてる」状態から抜け出せません。
Logic Proでラフバランスを取る手順
ラフバランスを取るときは、次の手順がおすすめです。
- ミキサーを表示(Xキー)して、すべてのトラックを確認
- まずドラム・ベース・メインとなるコード楽器(ピアノやシンセ)だけをソロで聞き、ドラム → ベース → 残りの順にフェーダーを決める
- 次にボーカルやリードシンセを追加して、曲の主役が一番聞き取りやすい位置に音量を調整
- シンセパッド・ストリングス・SEなどの「飾り」は、主役の邪魔をしない程度にうっすらと足していく
この段階では、プラグインはまだ挿さなくてもOKです。あくまで「フェーダーだけでどこまで整えられるか」を意識すると、耳が鍛えられます。
パン(左右の配置)で「ステージ上の位置」を決める
パンは、ライブステージでの立ち位置をイメージするとやりやすくなります。
- キック・スネア・ベース・リードボーカルは基本的にセンター
- ハイハット・ライド・オーバーヘッドは少し左・右に振ってステレオ感を出す(例:±20〜40あたり)
- ギターやシンセのバッキングは左右に振り分けて、真ん中の主役(ボーカルなど)が埋もれないようにする
まとめると、ラフバランスのゴールは「プラグインなしでも、曲として破綻していない状態」に持っていくことです。ここまで来たら、ようやくEQやコンプの出番です。
EQ・コンプで「聞きやすさ」と「土台」を整える
次の結論は、EQは「不要な帯域を整理」、コンプは「音量のデコボコを整える」ために使うということです。派手な音作りをする前に、まずは土台をフラットに近づけます。
理由として、EQとコンプはミックスにおける「掃除機」と「アイロン」のような役割だからです。余分な低域や鼻に付く高域を軽く削り、バラついた音量をなめらかにすると、他のトラックとの馴染みが良くなります。
Logic Pro標準EQ「Channel EQ」を使う基本手順
Channel EQは、各トラックのインサートスロットの一番上あたりに挿しておくと管理しやすいです。
- ミキサーを開き、調整したいトラックのインサートスロット(空欄部分)をクリック
- 「EQ」→「Channel EQ」を選択
- 不要な低域をカットしたい場合は、左端のローカットフィルタをオンにして、周波数を60〜100Hz前後まで少しずつ上げていく
- 耳につく帯域があれば、Qを少し細くして軽くブースト → 気になるところを探す → 逆にカットに切り替える
ポイントは、「必要なところを足す前に、不要なところを引く」という順番を意識することです。
コンプレッサーで音量のばらつきを整える基本
コンプレッサーは、特にボーカルやベースなど、音量が上下しやすいトラックから使い始めるのがおすすめです。
- インサートスロットをクリック → 「ダイナミクス」→「Compressor」を選択
- 最初はRatio(比率)を2:1〜3:1くらいに設定
- Threshold(スレッショルド)を下げていき、メーターのGain Reductionが-3〜-6dB程度動くくらいを目安にする
- AttackとReleaseは、極端な値ではなく中間あたりからスタートし、聞きながら微調整
まとめると、このステップのゴールは「どのパートも、常に適切な大きさで聞こえる状態」にすることです。細かい設定値はジャンルによって変わるので、まずは目安を元に「耳で決める」意識を持ちましょう。
リバーブ・ディレイで空間を作る&厚みを出す
ここでの結論は、リバーブ・ディレイは「センド方式」でまとめて管理すると、ミックス全体がまとまりやすくなるということです。
理由は、各トラックにバラバラのリバーブを挿すより、1〜2種類の「共有リバーブ」をバスで送った方が、同じ空間の中で演奏しているように聞こえるからです。ライブハウスやホールが一つであるのと同じイメージです。
リバーブ用バスを作る手順
Logic Proでリバーブ用のバスを作る基本手順は次の通りです。
- ミキサーを開く(Xキー)
- どれか1つのトラックの「Sends(センド)」欄の空きスロットをクリック
- 「Bus」→「Bus 1」などを選択
- 自動的に右側にAuxトラック(バストラック)が作成されるので、インサートスロットに「Reverb」→「Space Designer」や「ChromaVerb」を挿す
- Auxトラックの名前をダブルクリックして、「REV ROOM」など分かりやすい名前に変更
その上で、ボーカルやスネアなど「少し奥に置きたい」トラックのセンド量を上げて、リバーブのかかり具合を調整します。
ディレイで「厚み」と「遊び」を加える
ディレイも、リバーブと同じくバスでまとめて管理するのがおすすめです。ボーカルの語尾にうっすらディレイを足したり、シンセリードにステレオディレイを足すと、曲の世界観が一気に広がります。
- リバーブと同じ手順で「Bus 2」を作成し、Auxトラックに「Delay」→「Stereo Delay」などを挿す
- テンポシンクをオンにして、Leftを1/4、Rightを1/8などに設定
- Feedback(フィードバック)は控えめ(10〜25%あたり)からスタート
- ボーカルやリードシンセから少しだけセンドして、足りないと感じたら少しずつ足す
まとめると、このステップでは「前後の奥行き」と「左右の広がり」を作ることが目的です。かけすぎると一気にボワボワするので、「足りないかな?」くらいで止めておくと上品にまとまります。
バス・マスタートラックで全体を整える流れ
次の結論として、ミックスの終盤は「各バス」→「マスタートラック」の順に整えるのが基本です。ここでは大きな方向性だけを軽く整える程度に留めます。
理由は、マスターでやりすぎると後戻りが難しくなり、細かい修正がききにくくなるからです。あくまで最後の確認・微調整の場として使います。
各バス(DRUM BUS・MUSIC BUS・VOCAL BUS)の処理
トラックスタックやバスを使っている場合、それぞれのバスに軽くコンプやEQを挿すことで、グループ全体のまとまりが良くなります。
- DRUM BUSに軽いコンプ(Ratio 2:1程度、Gain Reduction -2〜-3dB)を挿して、ドラム全体を少しだけまとめる
- MUSIC BUS(シンセ・ギターなどのまとめ)に、不要な低域を薄くカットしてボーカル・ベースのスペースを確保
- VOCAL BUSで、高域をほんの少し持ち上げて、抜けを整える
この段階では、「やりすぎない」ことが一番大事です。気持ち変わったかな?くらいの変化量を意識しましょう。
マスタートラックの確認と、マスタリングとの役割分担
Logic Proでは、マスタートラックにリミッターやメーター類を挿して「最終的な音量と歪みチェック」を行います。
- ミキサー右端の「出力チャンネル(Stereo Out)」に「メーター」→「Loudness Meter」などを挿して、全体のラウドネスを確認
- 大きなピークが出ていないか、メインメーターが赤くクリップしていないかをチェック
- 必要に応じて「Dynamics」→「Limiter」を軽く挿し、ピークを安全に抑える
ただし、「音圧をガッツリ上げる作業」はマスタリングの役割です。ミックス段階では、マスター出力に少し余裕(ヘッドルーム)を残しておいた方が、後のマスタリングがやりやすくなります。
目安として、マスターのピークが-6〜-3dBあたりに収まっていれば、マスタリングにちょうど良いレベル感です。
書き出し前のチェックリストと、次にやるべきこと
最後の結論として、ミックスのゴールは「どこで聴いても、違和感なく曲として楽しめる状態」にすることです。完璧を目指しすぎると終わらなくなってしまうので、チェックポイントを決めて区切りをつけるのがおすすめです。
ミックス完成前のチェックリスト
書き出し前に、次のポイントをざっと確認してみてください。
- 30秒〜1分ほど離れて聴き直したときに、主役(ボーカルやリード)はちゃんと聞こえているか
- スマホの小さなスピーカーや、ノートPC内蔵スピーカーでもバランスが崩れないか
- イントロ・サビ・アウトロなど、各セクションで急に音量が変わっていないか
- 不要なノイズやクリック音が紛れていないか
問題なさそうであれば、一度書き出して翌日に聴き直すのもおすすめです。耳がリセットされるので、冷静に判断できます。
Logic Proでの書き出し手順(ミックス完了時)
書き出しの流れは、以前まとめた「プロジェクト作成〜書き出しまでの記事」とほぼ同じですが、ここでも簡単におさらいします。
- 上部メニューから「ファイル」→「バウンス」→「プロジェクトまたはセクション…」を選択
- ファイルフォーマットを「WAV」または「AIFF」、ビット深度を24bitに設定
- サンプルレートはプロジェクトと同じ値(44.1kHzや48kHz)に揃える
- ノーマライズは基本「オフ」にしておく
- ファイル名に「_mix」や日付を入れて、後で区別しやすくしておく
ここまで完了すれば、ミックス作業はひとまずゴールです。次のステップとして、より音圧や質感を整えるマスタリングについて学んでいきましょう。
まとめると、Logic Proでのミックス全体の流れは、
- ① プロジェクトを整理して「作業しやすい状態」にする
- ② ラフバランスで、フェーダーとパンだけで曲を成立させる
- ③ EQ・コンプで土台を整え、聞きやすさを優先する
- ④ リバーブ・ディレイで空間と広がりを加える
- ⑤ バス・マスターで全体を微調整し、書き出してチェックする
この5ステップを意識するだけでも、ミックスの「迷子タイム」がかなり減るはずです。慣れてきたら、自分なりの順番やテンプレートを作って、さらに時短していきましょう。

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