DTM初心者向け|アレンジの作り方入門(構成・楽器配置・厚みの出し方)
こんにちは、kawaharaです。
「メロディはできたけど、このあと何を足せばいいか分からない…」「コードも入れたけど、なんだかスカスカに聞こえる…」というお悩みは、DTM初心者さんあるあるです。
この記事では、そんな方に向けてアレンジ(曲の組み立て方)の基本を、難しい理論は後回しにしつつ、すぐ試せる実践ステップでまとめました。
この記事はカテゴリの基礎記事です。 DTM全体の流れの中で「アレンジ」がどんな役割を持っているのかも、あわせてイメージできるように書いていきます。
先に結論をお伝えすると、アレンジで大事なのは次の3つです。
- 曲全体を「ブロック」に分けて構成の流れを決める
- それぞれのブロックで、楽器の役割と配置を決める(メロディ・リズム・土台)
- 必要なところだけ音を重ねて、厚みとメリハリをつける
これから順番に、結論 → 理由 → 手順 → まとめの流れで解説していきます。
1. 曲の構成を先に決める【8小節ごとにブロック分け】
結論:アレンジ前に「4〜5つのブロック」に分けよう
結論から言うと、アレンジを始める前に曲全体を4〜5つのブロックに分けてしまうのが一番ラクです。
- イントロ(Intro)
- Aメロ(Verse)
- Bメロ(Pre-chorus)
- サビ(Chorus / Drop)
- アウトロ(Outro)
このように「ブロック名」と「長さ(○小節)」を先に決めておくと、どの場面でどれくらい盛り上げるかが見通しやすくなります。
なぜ構成から決めるとアレンジが楽になるのか
構成を決めずにいきなり音を足していくと、
- サビだけ妙に長くなる
- イントロがダラダラしてしまう
- 盛り上がりどころが分からない
といった状態になりがちです。これは、地図がないまま街を歩いているようなものです。
最初に「Aメロは8小節・Bメロは8小節・サビは16小節」などとざっくり決めてしまえば、その枠の中に何を入れるかを考えるだけになるので、アレンジの難易度がぐっと下がります。
具体的な手順:アレンジトラックで構成ブロックを作る
ここでは、Logic Pro を例にしながら構成のブロックを作る手順を紹介します。他のDAWでも「アレンジマーカー」や「マーカー」機能で同じように設定できます。
- 【位置】 メインウインドウ上部の「グローバルトラック」エリアを表示する(表示されていない場合は、トラックエリア左上の「▽」アイコンをクリック)
- 【ボタン名】 「アレンジメント」にチェックを入れて、アレンジトラックを表示する
- 【設定値】 アレンジトラック上で「+」ボタンをクリックし、「Intro / Verse / Chorus」など好きな名前でブロックを追加する
- 【設定値】 ブロックの右端をドラッグして、「8小節」「16小節」など長さをそろえる
まずは、
- イントロ:4〜8小節
- Aメロ:8小節
- Bメロ:8小節
- サビ:16小節
- アウトロ:4〜8小節
という定番の構成から始めてみると良いです。
まとめ:構成は「箱」を並べるイメージでOK
曲の構成は、「イントロ」「Aメロ」「サビ」といった箱を横に並べる作業だと考えると分かりやすいです。
先に箱の数とサイズ(何小節か)を決めておけば、その中身(どの楽器を鳴らすか)を考えるときに迷いにくくなります。
2. 楽器の役割と配置を決める【上・中・下の3層で考える】
結論:音の「上・中・下」3つの役割を決める
アレンジで迷わないコツは、楽器を役割で分けて考えることです。具体的には、次の3つに分けます。
- 上(高音):メロディ・リード・装飾音
- 中(中音):コード・パッド・アルペジオ
- 下(低音):ベース・キック
この3つを、1ブロックごとに「何を鳴らすか」決めていくと、音がぶつかりづらくなります。
なぜ役割で分けると聞きやすくなるのか
楽器を思いついた順に足していくと、
- メロディが複数あって主役がぼやける
- 中音域にばかり音がたまり、こもって聞こえる
- 低音が弱くて曲が軽く聞こえる
といった問題が起きやすくなります。
逆に、「上・中・下」が一つずつしっかりしているだけで、初心者でもかなり整ったサウンドになります。料理でいうと、「メインのおかず」「サラダ」「ご飯」がそろっているイメージです。
具体的な手順:トラックを役割順に並べる
ここでは、Logic Pro のトラック配置を例に、「役割ごとに並べ替える」手順を書いてみます。
- 【位置】 トラックエリア左側のトラック名の部分をドラッグして上下に移動する
- 【設定例】 上から順に「ドラム」「ベース」「コード」「パッド」「リード」「FX」のように並べる
- 【ボタン名】 各トラックの左端「M(ミュート)」「S(ソロ)」ボタンを使いながら、役割ごとに音を確認する
さらに、1ブロックごとに「上・中・下」をメモしておくと分かりやすいです。
- イントロ:中=パッド、上=簡単なフレーズ、下=ベースなし
- Aメロ:中=コード、下=軽めのベース、上=ボーカルのみ
- サビ:中=コード+シンセ、下=太めのベース、上=リード+ハモリ
このように、各パートの「役割」を1つずつ決めていくだけで、アレンジの方針がかなりクリアになります。
まとめ:役割がかぶらないように配置する
楽器を配置するときは、「このトラックは上・中・下のどこ担当?」と自分に問いかけてみてください。
もし同じ役割のトラックが増えすぎていたら、思い切ってミュートしたり削ったりすることで、かえって聞きやすいアレンジになります。
3. 音の厚みを出す基本テクニック【重ね方のコツ】
結論:同じフレーズを「オクターブ・左右・音色違い」で重ねる
音の厚みを出す基本は、同じフレーズを少し条件を変えて重ねることです。特にサビでよく使えるのが次の3つです。
- オクターブ違いで重ねる
- 左右に振り分けて重ねる
- 音色を変えて薄く足す
なぜ「別フレーズ」より「同じフレーズを重ねる」が安全なのか
初心者のうちは、「サビだからフレーズをどんどん追加しよう」と考えがちですが、別々のフレーズを増やしすぎると、
- メロディ同士がぶつかる
- コード感が不安定になる
- どこを聴けばいいか分からなくなる
同じフレーズをオクターブ違いや左右違いで重ねる方法なら、メロディの輪郭はそのままに、存在感だけアップさせることができます。
具体的な手順:サビのシンセリードを厚くする例
Logic Pro のシンセリードを例に、オクターブとパンで厚みを出す手順を書いてみます。
- 【位置】 サビ部分のリードシンセのリージョンを選択し、Option + ドラッグで同じフレーズを複製する
- 【設定値】 複製したトラックのMIDIノートをすべて選択し、「ピッチを+12(オクターブ上)」にトランスポーズする
- 【位置】 ミキサーまたはトラックヘッダーの「Pan」ノブを操作
- 【設定値】 元のリードを「L20」、オクターブ上のリードを「R20」くらいにパンを振る
- 【設定値】 オクターブ上のリードのフェーダーを少し下げて(元より-3〜-6dB)、うっすら乗る程度にする
さらに余裕があれば、
- アタックが弱めのパッド系音色を同じコードで薄く足す
- サイドチェイン(キックに合わせて揺れる処理)をかけてノリを出す
といったアレンジも有効です。
まとめ:まずは「1トラック+α」で考える
厚みを出すときは、いきなり3〜4トラック重ねるのではなく、
- メインの1トラックを決める
- オクターブ上か下を1トラックだけ足す
- 必要なら左右に少し広げる
という「1トラック+α」の考え方から始めると、音がゴチャゴチャしづらくなります。
4. アレンジでよくある失敗とチェックリスト
結論:アレンジは「引き算」とセットで考える
アレンジに慣れないうちは、「とりあえず足す」方向に走りがちですが、本当に大事なのはどこで音を抜くかです。
よくある失敗例とその原因
よくあるパターンをいくつか挙げておきます。
- どのセクションも同じ厚さ:イントロからサビまで常にフル編成で鳴らしてしまう
- メロディが聞き取りづらい:リードと装飾フレーズが同じ音量・同じ帯域にいる
- 低音不足:ベースの音量が小さすぎる、もしくはベース自体が入っていない
これらはすべて、役割の整理と「どこを抜くか」の設計で改善できます。
具体的な手順:最後にチェックしたい3つのポイント
アレンジが一通りできたら、次の3つをチェックしてみてください。
- 【構成】 イントロ → Aメロ → Bメロ → サビで、音数や盛り上がりが少しずつ増えているか
- 【役割】 各セクションで「上・中・下」がちゃんとそろっているか(どれかが抜けていないか)
- 【抜きどころ】 サビ前や曲のラスト前など、あえて音を減らしている部分があるか
特に3つ目の「抜きどころ」があると、サビに入ったときのインパクトがぐっと増します。
まとめ:完璧を目指さず「1曲作り切る」ことを優先しよう
アレンジは、経験を重ねるほど上達していく分野です。最初から完璧を目指すより、
- 構成をざっくり決める
- 楽器の役割を分けて置いてみる
- サビだけでも厚みのある形にしてみる
という流れでまずは1曲を最後まで作り切ることを目標にしてみてください。
このあと、ミキシングやエフェクト処理を学んでいくことで、さらにクオリティを上げていくことができます。

コメント
コメントを投稿