DTM初心者向け|メロ先作曲の始め方ガイド(手順・コツ・よくある失敗対策)
こんにちは、kawaharaです。
この記事では、メロディから作り始める「メロ先作曲」のやり方を、DTM初心者の方向けにじっくり解説していきます。
コードや音楽理論がまだあまり分からなくても、口ずさんだフレーズから1曲に育てていく方法を、具体的なDAW操作と手順に落とし込んで説明します。
この記事はDTMカテゴリの基礎記事として、メロ先作曲の全体像をつかむことを目標にしています。
メロ先作曲とは?この記事で分かること
まず最初に、メロ先作曲がどんなやり方なのか、ゴールとあわせて整理しておきます。
メロ先作曲のざっくりした結論
メロ先作曲とは、歌メロやリードフレーズなど「主役のメロディ」を最初に作り、そのあとでコード・リズム・サウンドを足していく作曲方法です。
先にコード進行を決めてからメロディを乗せる「コード先」に比べて、感覚的に鼻歌からスタートしやすいのが特徴です。
この記事を読んだあとにできるようになること
この記事を読み終わるころには、次のようなことができるようになることを目指します。
- 「ラララ〜」と鼻歌で浮かんだフレーズを、DAWに録音・打ち込みして形にできる
- メロディに合うざっくりしたコード進行を、自分で選べるようになる
- よくある行き詰まり(途中でアイデアが止まる・似たメロばかりになる)を避けるコツが分かる
- 8小節程度の短いメロ先アイデアを、1曲の「サビ」候補として保存していける
イメージとしては、レゴブロックの「一番かわいいパーツ(メインメロ)」を先に作り、そのあとで土台や背景を足していくような感覚です。
メロ先作曲が向いている人・向いていない人
自分に合う作曲スタイルかどうかを知っておくと、途中で挫折しにくくなります。
メロ先作曲が向いている人の特徴
- 日常的にメロディを口ずさんでしまう
- 歌モノ・ボカロ・ポップスが好きで、サビを大事にしたい
- コード理論はまだ自信がないけれど、耳で「好き・嫌い」は分かる
- 感覚で先に作って、あとから整理する方が性格に合っている
逆に、
- コード進行を組み立てるのが好き
- ピアノやギターでジャラッと弾きながら作りたい
といった方は、「コード先作曲」も相性が良いので、両方試しながら自分に合うスタイルを探してみるのがおすすめです。
準備編:メロ先作曲のためのDAW設定(Logic Pro例)
ここからは、実際の作業画面をイメージしやすいように、Logic Proを例に設定手順を書いていきます。ほかのDAWでも、名前は違っても似た場所に同じ機能があることが多いです。
Step 1:新規プロジェクトとテンポの設定
まずはメロディを作りやすいテンポと長さを決めます。
- Logic Proを開き、メニュー左上の「ファイル」→「新規」をクリック
- 「新規プロジェクト」ウィンドウで「空のプロジェクト」を選択 → 右下の「選択」をクリック
- 「新規トラック」ダイアログで「ソフトウェア音源」を選び「作成」
- 画面上部のテンポ表示(例:120.000)をクリックして、90〜120くらいのテンポに変更
最初は、BPM 100〜110くらいのゆったりめがメロディを考えやすくておすすめです。
Step 2:キー(調)とガイド用サウンドを決める
難しい理論は一旦置いて、まずは「明るい」「暗い」のどちらで作るかだけ決めましょう。
- 画面上部の「表示」→「トランスポート」→「キー」表示をオンにする(表示されていない場合)
- キーの表示部分をクリックし、明るい曲なら「Cメジャー」、切ない曲なら「Aマイナー」あたりを選ぶ
- ソフトウェア音源トラックを選択し、ライブラリ(ショートカット:Y)から「ピアノ」や「マルチティンバルシンセ」など、音程がはっきり分かる音色を選ぶ
ここでは、「Cメジャー(シャープやフラットが少なく、鍵盤の白鍵だけで完結)」を使うと、あとからコードをつけるときも楽になります。
Step 3:ループ範囲(サイクル)の設定
メロディを作るときは、4〜8小節の短いループに絞った方が、集中しやすくなります。
- メインウインドウ上部の「ルーラー」部分をドラッグして、1小節目の頭から5小節目(4小節分)まで黄色いサイクルバーを作る
- キーボードのCキーでサイクル再生のオン/オフを切り替え可能
この4小節だけをひたすらループ再生しながら、メロディを考えていくイメージです。
実践編:メロ先作曲の5ステップ手順
ここからは、実際にメロディを作る具体的な流れを、5つのステップに分けて解説します。
Step 1:「ラララ」でいいので鼻歌を録音する
いきなりMIDI打ち込みから入ると固くなりがちなので、まずは口ずさんでみましょう。
- トランスポートバーの左側にある「クリック」アイコン(メトロノームマーク)をオンにして、テンポに合わせてカウントを聞けるようにする
- オーディオトラックを追加する場合:左上の「+」ボタン → 「オーディオ」を選び、「入力」をマイクのチャンネルに設定 → 「作成」
- 録音ボタン(赤い●)を押して、4小節ループされる状態で「ラララ〜」と適当に歌ってみる
歌詞はなくてOKです。「歌っていて気持ちいいリズム」と「自然に上がり下がりするメロディライン」だけ意識しましょう。
Step 2:気に入ったフレーズだけを残す
1回で完璧を狙わず、何テイクか録って「ここ好き!」という部分だけを拾います。
- 録音したテイクを再生しながら、特にしっくりくる小節にマーカー(キーボードの「/」でマーカー追加)を打っておく
- 波形を見ながら、良い部分だけを切り取って新しいトラックにコピー(編集メニューの「分割」や「コピー/ペースト」を使う)
- 最終的に、4小節の中で1〜2小節分の核となるフレーズを決める
この核となるフレーズが、いわゆる「モチーフ」になります。
Step 3:モチーフをコピーして4小節に広げる
決めたモチーフを、少しずつ変化させながら4小節のまとまりに延ばします。
- モチーフのMIDIノートまたはオーディオリージョンを選択し、Option+ドラッグ(Windows系ならAlt+ドラッグに相当)で2〜4小節目にコピー
- 2小節目では、最後の音だけ1度(鍵盤1つ分)上げて変化をつける
- 3〜4小節目では、リズムを少し変えたり、最後だけ長く伸ばしたりして「着地感」を出す
このように「同じフレーズ+ちょっとだけ変える」を繰り返すと、覚えやすいメロディになります。
Step 4:ピアノロールに打ち込みで整理する
鼻歌から作ったメロディを、MIDIノートに置き換えていきます。
- オーディオで録った場合は、それを参考にしながらソフトウェア音源トラックを追加し、ピアノロール(ショートカット:P)を開く
- グリッドを「16分音符」か「8分音符」に設定し、聞こえたリズムに合わせてノートを配置
- ノートの高さは、キーボードで試し弾きしながら「耳でしっくりくる」位置に調整する
このとき、一気に細かく作り込みすぎないのがポイントです。まずはざっくり形にして、あとから修正していけばOKです。
Step 5:同じモチーフで「Aメロ」「サビ」のバリエーションを作る
1つできたメインメロディを、少し変化させて別パートへ展開していきます。
- 今作った4小節を丸ごとコピーして、新しい場所(例:9〜12小節)に貼り付ける
- 音の高さはそのままに、リズムだけを少し細かくする(サビっぽくなる)
- 逆に、リズムをシンプルにして、Aメロのような落ち着いた雰囲気にする
同じモチーフをベースにすると、曲全体の「統一感」が生まれます。
メロディからコードをつける簡単なやり方
メロ先作曲でよく悩むのが、「このメロディにどんなコードをつけたらいいか分からない」というポイントです。ここでは難しい理論を使わずに、シンプルな方法を紹介します。
Step 1:メロディの「着地する音」を見る
各小節の最後の音、特に4小節目の一番最後の音を確認します。
- ピアノロールで、一番最後に長く鳴っているノートをチェック
- Cメジャーなら、C・E・Gなど「ド・ミ・ソ」に着地しているかを見る
- もしCに着地していれば、「Cメジャー(C-E-G)」のコードがまず候補になります
ざっくりと、着地する音を含むコードを選ぶだけでも、かなり自然な響きになります。
Step 2:定番の進行パターンに当てはめる
完全オリジナルで考えるより、定番の進行に当てはめる方が早くまとまりやすいです。
- Cメジャーキーの代表的な進行
- C → G → Am → F(いわゆる王道進行)
- Am → F → C → G(切ない系・kawaii系にもよく合う)
まずはこのどちらかを4小節に敷いておき、その上でメロディの一部を微調整してあげると、コードとメロディが自然に馴染みやすくなります。
Step 3:Logic Proでコードを鳴らす具体的操作
実際の打ち込み手順も確認しておきましょう。
- 新規ソフトウェア音源トラックを作成し、パッド系やピアノ系の音色を選ぶ
- 1小節目の頭に、C・E・Gの3つのノートを縦に並べて配置(Cコード)
- 2小節目にG・B・D(Gコード)、3小節目にA・C・E(Am)、4小節目にF・A・C(Fコード)を同様に置く
- 各コードの長さは「1小節」か「2拍」など、曲のノリに合わせて調整する
最初は「なんとなくそれっぽい」でOKです。コード進行は、少しずつ自分の好みにチューニングしていけば大丈夫です。
メロ先作曲でよくある失敗と回避テクニック
ここからは、初心者がメロ先でつまずきやすいポイントと、その対処法をまとめておきます。
失敗1:最初からサビを完璧にしようとして進まない
「一生使えるサビを作らなきゃ…」と力みすぎると、1音も置けなくなってしまいます。
- 対策:「今日は微妙でもOK」の日を作る
- 1日で1フレーズ(4小節)だけ作って保存し、翌日に聴き返してから判断する
- ボツ案も「アイデア用プロジェクト」にまとめて取っておく
メロディ作りは、写真の「連写モード」に近いです。たくさん撮って、その中からベストショットを選ぶイメージでいきましょう。
失敗2:音域が高すぎて歌いにくい
気持ちよく盛り上げようとして、無意識に高音ばかり使ってしまうパターンです。
- 対策:メロディ全体をトランスポーズ機能で上下させてみる
- Logic Proなら、リージョンを選択 → インスペクタの「トランスポーズ」で±12の範囲で比較
- ボーカルを想定しているなら、歌いやすい最低音〜最高音の範囲を意識する
ボカロやSynthVを使う場合も、あまりに高音ばかりだと聴き疲れしやすいので、ほどよい音域に収めるのがポイントです。
失敗3:全部の小節で違うことをやりすぎて覚えにくい
アイデアを詰め込みすぎると、聴き手からすると「どこがサビ?」となってしまいます。
- 対策:「1小節分のモチーフ」を決め、それ以外はそのバリエーションにする
- 1小節目のリズムを2小節目にも使い、3・4小節目は着地用に少し変える程度にとどめる
- 「コピーして少し変える」を基本ルールにすると、統一感が出やすい
ポップスの名曲も、多くはシンプルなモチーフ+変化でできています。複雑=良いメロディ、ではないので安心してください。
まとめ:短い8小節からメロ先作曲に慣れていこう
今回は、DTM初心者向けにメロ先作曲の流れをまとめました。
- 4〜8小節の短いループを作り、鼻歌からメロディを作る
- 気に入った1〜2小節のモチーフを決めて、コピー+少しの変化で4小節に広げる
- メロディの着地する音を手がかりに、定番のコード進行を当てはめる
- 完璧を目指しすぎず、「今日はこのアイデアだけ」と区切って保存していく
メロ先作曲は、慣れてくると「今日はサビだけ」「今日はAメロだけ」と、パズルのピースを集めるような感覚で曲作りができるようになります。
まずは、この記事の手順どおりに8小節のメロディを1つ作ってみてください。そこから、少しずつ自分らしいスタイルにアレンジしていきましょう。

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