DTM初心者向け|音を良くする時短テク10選(すぐ試せる簡単コツ)

DTM初心者向け|音を良くする時短テク10選(すぐ試せる簡単コツ)

こんにちは、kawaharaです。

「ミックスの教科書を読んでいる時間はあまりないけど、とりあえず今作っている曲の音をパッと良くしたい」ということ、ありますよね。

この記事では、DTM初心者の方でもすぐ試せて、難しい理論なしで音をスッと整えられる時短テクを10個にしぼって紹介します。使うのは、EQ・コンプ・リバーブなど、ほとんどのDAWに標準で入っている機能だけです。

イメージとしては、料理の「味の素」や「めんつゆ」のような存在で、ちょっと足すだけで全体のクオリティが一段上がる「仕上げのひと手間」を集めたイメージです。

この記事はDTM初心者向けカテゴリの基礎記事です。 まずはここで「音を良くする感覚」をつかんでから、ミキシングやマスタリングの個別記事にステップアップしていく流れを想定しています。

結論としては、①音量バランス、②不要な帯域カット、③空間(リバーブ)を整えるだけでも、曲の印象は大きく変わるので、まずはここから押さえていきましょう。

それでは、具体的な時短テクを見ていきます。

① 最初に「ラフバランス」を一気に整えてしまう

結論:最初に全体の音量バランスをざっくり決めておくと、その後の作業が圧倒的に楽になります。

曲作りの途中であちこち音量をいじっていると、気づけばミックスがぐちゃぐちゃになりがちです。そこでおすすめなのが、ミックスの入口で一度「ラフバランス」を作ってしまう方法です。

バンドでのリハーサルをイメージすると分かりやすくて、まずはボーカル・ドラム・ベースなどの主役を決めて、その主役が一番気持ちよく聞こえるように周りの音量を合わせていくイメージです。

ラフバランスを取る手順

  • マスターフェーダーは0dBのままにしておく(触らない)
  • すべてのトラックのフェーダーを-∞(最小)まで一度下げる
  • ①ドラム ②ベース ③ボーカル or メインメロディの順に、1つずつフェーダーを上げていく
  • その3つが気持ちよく聞こえたら、次にコード・パッド・シンセなどの「背景」を小さめに足す
  • マスターが-6〜-3dBくらいでピークするように全体を調整する

この作業を最初にやっておくだけで、「どのトラックをどれくらい下げるべきか」で迷う時間がかなり減ります。

② 全トラックの音量を「-12〜-6dB」付近にそろえる

結論:各トラックのピークをそろえると、プラグインが正しく動作しやすくなり、結果的に音がまとまりやすくなります。

これは「ゲインステージング」と呼ばれる考え方で、ざっくり言うと入力レベルを整えてあげる作業です。プラグインは「これくらいの入力が来るはず」という前提で作られていることが多いので、極端に大きすぎたり小さすぎると、本来の実力を発揮できません。

ゲインをそろえる簡単な手順

  • 各トラックをソロにして再生し、メータのピーク値を確認する
  • ピークが0dB付近まで来ているトラックは、チャンネルインプットゲインや「Gain」プラグインで下げる
  • 目安として、-12〜-6dB付近に収まるように調整する
  • すべてのトラックで同じように行い、ラフバランスを取り直す

これだけで、ミックスの途中で突然音が割れる・プラグイン後に爆音になる、といった事故をかなり防げます。

③ ベース以外に「ハイパスフィルター」を軽く入れる

結論:ベースとキック以外の低音を整理するだけで、全体が一気にスッキリします。

シンセパッドやピアノ、ボーカルなど、多くの音は「耳には聞こえにくいけれど、実は低音成分をたくさん含んでいる」ことがあります。その不要な低音が積み重なると、ミックスがもやっとした印象になってしまいます。

ハイパスフィルターをかける手順

  • 各トラックのチャンネルEQを開く
  • ローカット/ハイパスフィルター(HPF)をオンにする
  • ボーカルは80〜100Hz付近から、シンセやギターは100〜150Hz付近から少しずつカットしていく
  • カットしすぎて音が痩せたと感じたら、少し戻す(「聞いて分かるギリギリ手前」までが目安)
  • ベースとキックは基本的にハイパスをかけない or かなり低い周波数から緩めにかける

「低音の居場所をベースとキックに譲る」イメージで整理してあげると、すぐに違いが体感できるはずです。

④ リバーブは「1つのバス」にまとめて統一感アップ

結論:リバーブを各トラックにバラバラに挿すのではなく、バス1つにまとめると、空間の統一感が一気に増します。

部屋でバンド演奏をしているイメージをすると分かりやすくて、基本的には全員が同じ部屋の響きの中で鳴っていますよね。リバーブも同じで、1つのバスにまとめて送ってあげると「同じ空間で鳴っている感」が出やすくなります。

バスリバーブの設定手順

  • 空のバストラック(AUX)を1つ作る
  • そのバスのインサートに、好みのリバーブプラグインを1つだけ挿す
  • リバーブのMIXは100%にし、バス側のフェーダーで量を調整する
  • ボーカル・スネア・シンセパッドなど、空間が欲しいトラックからセンド(Send)で少しずつ送る
  • 曲全体を聞きながら、「少し足りないかな?」くらいの量に抑える

リバーブを1箇所にまとめるだけで、調整の手間も減り、ミックス全体の管理もかなり楽になります。

⑤ EQプリセットで「こもり」を一瞬で取る

結論:EQのプリセットを「出発点」として使うと、ゼロから考える手間を大幅に省けます。

プリセット=完成形ではありませんが、「ボーカルのこもりを取る」「アコギを明るくする」といった目的のプリセットを呼び出して微調整するだけでも、十分に実用的な音になります。

EQプリセット活用の手順

  • ボーカルやギターなど、気になるトラックのEQを開く
  • プリセットメニューから「Vocal Bright」「Acoustic Guitar Clean」など近い名前のものを選ぶ
  • かかりすぎていると感じたら、各バンドのゲイン(dB)を少し下げる
  • 不要そうなバンドはオフにして、最低限のカーブだけ残す
  • 曲全体の中で聞き、ソロではなく他の楽器と一緒にバランスを確認する

プリセットを「答え」ではなく「たたき台」として使うことで、迷子になりにくくなります。

⑥ マスタートラックに「軽いサチュレーション」をかける

結論:ごく薄いサチュレーション(倍音)を足すと、全体のまとまり感と「前に出る感じ」が出やすくなります。

サチュレーションは、テープやアナログ機材の「ほんのり歪んだ心地よさ」を再現するエフェクトです。使いすぎると汚くなりますが、薄く足すだけなら簡単に音の印象を良くできます。

サチュレーションを使う手順

  • マスタートラックの一番最初 or 中ほどにサチュレーション系プラグインを挿す
  • ドライブ量(Drive)を0〜3dB程度、ごく軽めに設定する
  • オン/オフを切り替えながら、「少し太くなったかな?」と感じる程度に調整する
  • 高域がきつくなった場合は、プラグイン側のトーンやEQで少し抑える
  • 最終的な音量が上がりすぎていないか、マスターのメータで確認する

やりすぎると耳が疲れるので、「ほとんど分からないけど、オンにした方がいいかも?」くらいがちょうど良いです。

⑦ 「広げすぎない」ステレオイメージでプロっぽく聞かせる

結論:ステレオをただ広げるだけでなく、中央と左右の役割を分けると、ミックスが安定します。

よくある失敗が、「ステレオイメージャーをかけまくってスカスカになる」パターンです。センター:主役/左右:雰囲気という役割分担を意識すると、簡単にまとめやすくなります。

ステレオを整える手順

  • ボーカル・ベース・キック・スネアなどはセンターに固定する
  • シンセパッドやアルペジオ、リードシンセなどをステレオイメージャーで少しだけ広げる
  • 広げる量は、Widthの値を1.1〜1.3倍程度までに抑える
  • モノラルチェック(モノボタン)を押して、音が極端に細くならないか確認する
  • 「広げる」のではなく、「どの音をセンターに置くか」を先に決めるイメージで調整する

少しの調整でも「スピーカーの外側まで音が広がる」ような感覚が出てくるので、やりすぎないことがポイントです。

⑧ リファレンス曲を1トラックだけ常に用意しておく

結論:「目標の音」を用意しておくだけで、迷う時間が一気に減ります。

ミックスで一番時間を食うのは、「これで合っているのか分からない」という不安です。そこで、自分が目指したいジャンルの商用曲を1〜2曲、プロジェクトの中に入れておきましょう。

リファレンス曲活用の手順

  • 完成度が高いと思う商用曲を1曲、オーディオトラックとしてプロジェクトに読み込む
  • そのトラックの出力をマスターと同じバスに接続し、音量をほかの曲と揃える
  • 自分の曲とリファレンス曲をミュート/ソロで切り替えながら聞き比べる
  • 「低音が足りない」「ボーカルが小さい」など、気づいた差をメモしてから調整する
  • ミックスの途中でも、節目ごとに必ずリファレンスに戻って耳をリセットする

ゴールのイメージがはっきりするだけで、「あと何をすべきか」が見えやすくなります。

⑨ 自分用「DTMテンプレート」を1つ作っておく

結論:毎回のプロジェクトでやっている同じ準備は、テンプレートにしてしまうのが最強の時短です。

ドラムバス・リバーブバス・マスターに挿すプラグインなど、いつも同じように使う設定は、あらかじめテンプレートプロジェクトに保存しておきます。新規曲を作るたびにそこからスタートすれば、準備の時間をかなり短縮できます。

テンプレート作成の手順

  • いつも使うトラック構成(ドラム・ベース・コード・リード・FXなど)を1つのプロジェクトにまとめる
  • リバーブ・ディレイ・サイドチェイン用バスなどもこの時点で用意しておく
  • マスタートラックに軽いサチュレーションやメータープラグインを挿しておく
  • プロジェクトを「Template」などの名前で保存し、DAW側のテンプレート機能に登録する
  • 新曲を作るときは、必ずこのテンプレートから開く習慣をつける

テンプレートの作り方は、別記事「Logic Proでテンプレート制作の方法」と合わせて読むと、さらに具体的にイメージしやすくなります。

⑩ よく使う操作は「ショートカット登録」で一撃にする

結論:トラックのミュート・ソロ・複製などをショートカットに割り当てると、作業スピードが倍以上になります。

音そのものを変えるテクではありませんが、素早く手数を打てるほど良い音にたどり着きやすいので、ここも立派な「時短で音を良くするテクニック」です。

ショートカット設定の手順(一般的な流れ)

  • DAWのメニューからキーボードショートカット/キーコマンド設定画面を開く
  • 「トラック複製」「リージョン分割」「ミュート」「ソロ」など、頻繁に使う操作を検索する
  • 空いているキー(例:Ctrl+D、Shift+Sなど)に割り当てる
  • 1日10回以上使う操作から優先的に登録する
  • 慣れるまで、キーボードの近くにメモを貼っておくと定着しやすい

ショートカットは一度覚えてしまえば、その後ずっと使える一生もののスキルなので、早めに仕込んでおくのがおすすめです。

まとめ:難しい理論より「効く一手間」を積み重ねよう

今回は、DTM初心者の方でもすぐ試せる「音を良くする時短テク」を10個紹介しました。

  • ① 最初にラフバランスを作って「主役」を決める
  • ② ゲインステージングで各トラックを-12〜-6dB付近にそろえる
  • ③ ベース以外には軽くハイパスフィルターをかける
  • ④ リバーブはバス1本にまとめて空間を統一する
  • ⑤ EQプリセットをたたき台にして「こもり」を取る
  • ⑥ マスターに薄くサチュレーションをかけてまとまり感アップ
  • ⑦ ステレオイメージは「広げすぎず」センターとの役割分担を意識
  • ⑧ リファレンス曲を1トラック用意してゴールを明確にする
  • ⑨ 自分用DTMテンプレートを作って毎回の準備を短縮
  • ⑩ ショートカット登録で操作スピードを底上げする

どれも、今日からすぐに試せるものばかりです。全部を一度にやろうとせず、「まずは1〜2個だけ採り入れてみる」くらいの気持ちでOKです。

少しずつ「なんとなく良く聞こえる」経験を積み重ねていくと、自然と耳も育っていきます。気になった方は、ミキシングや音圧アップの記事も合わせてチェックしてみてくださいね。

コメント