Logic Pro|バンド録音・スタジオライブ収録の始め方(初心者向けガイド)
こんにちは、kawaharaです。
この記事では、Logic Proでバンド演奏やスタジオライブを録音する手順を、初心者の方にもわかりやすいように順番に解説していきます。
マイクやオーディオインターフェイスがたくさん登場するバンド録音は、最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、考え方は「楽器ごとに音の入り口を作って、Logic Proのトラックに割り当てていく」だけです。
この記事はカテゴリの基礎記事です。Logic Proのバンド録音・ライブ収録を始めたい方向けの「全体像のガイド」として、他の詳細記事への入り口にもなっています。
まずは結論と全体の流れを押さえたうえで、機材準備 → プロジェクト設定 → 録音パターン → ライブ録音のコツ → 録音後のチェック、という順番で進めていきましょう。
それでは、具体的に見ていきます。
結論:Logic Proなら「楽器ごとに入力を割り当てる」だけでOK
最初に結論からお伝えすると、Logic Proでバンド録音・スタジオライブ収録をする時は、「オーディオインターフェイスの入力」と「Logic Proのトラック」をきちんと対応させることができれば、基本的な録音はほぼ完成です。
難しそうに見えるのは、
- マイクの本数が増える
- ドラムやアンプ、ボーカルなど「音の出どころ」が多い
- クリック(メトロノーム)やヘッドホンモニターをどうするか
といった要素が重なっているからです。
しかし、考え方としては「バンドメンバー一人ひとりに、録音用のレーン(トラック)を用意してあげる」イメージでOKです。カラオケでそれぞれのマイク音量を調整するように、各パート用のトラックを作って、入力を割り当てて、録音ボタンを押すだけです。
このあと、
- なぜ入力の割り当てが大事なのか(理由)
- 具体的にどう設定していくのか(手順)
- 最初に覚えておきたい注意点とコツ(まとめ)
という流れで順番に解説していきます。
バンド録音の基本構造:なぜ「入力の整理」が大事なのか
バンド録音では、ドラム・ベース・ギター・ボーカルなど複数の音が同時に鳴ります。ここで入力がごちゃごちゃになっていると、録音した後に「どの音がどのトラックか分からない」「ボーカルだけ音量を上げたいのに、他の音も一緒に変わる」といった状態になってしまいます。
入力を整理するメリットは、主に次の3つです。
- 各楽器ごとに録音レベル(音量)を最適にできる
- 録音後のミックスで、必要なパートだけを自由に調整できる
- テイク違い(Take)やパンチイン録音を、パート単位でやり直せる
これは、ノートを色分けして整理するのと似ています。最初にきちんと色分け(=入力とトラックの対応)をしておくと、後から何度でも見返しやすくなる、というイメージです。
必要な機材のイメージをざっくりつかむ
具体的な手順に入る前に、必要になる機材をざっくり整理しておきます。
- Mac本体(Logic Proが動くスペックのもの)
- Logic Pro 本体
- マルチ入力対応のオーディオインターフェイス(入力数はバンド編成に応じて)
- コンデンサーマイク or ダイナミックマイク(ボーカル・アンプ用)
- ドラム用マイク(キック・スネア・オーバーヘッドなど、必要に応じて)
- 各メンバー用のヘッドホン、ヘッドホンアンプ(あればベター)
スタジオに常設の機材がある場合は、「オーディオインターフェイスの入力番号」と「スタジオのミキサー/マルチボックスの番号」がどう対応しているかを、事前にメモしておくとスムーズです。
事前準備:Logic Proとオーディオインターフェイスの設定
ここからは、実際の操作手順に入ります。まずはLogic Proとオーディオインターフェイスの設定を整えましょう。
オーディオ設定:入力デバイス・出力デバイスを確認する
Logic Proを起動したら、まずは使うオーディオインターフェイスが正しく選ばれているかを確認します。
- 画面左上のメニューバーから 「Logic Pro」 → 「設定」 → 「オーディオ」 を開く
- 「デバイス」タブを選び、
- 「出力デバイス」:使用するオーディオインターフェイス名
- 「入力デバイス」:同じくオーディオインターフェイス名
になっているか確認します。
もし内蔵出力や内蔵マイクになっている場合は、プルダウンをクリックしてオーディオインターフェイスに変更してください。
サンプリングレート・バッファサイズの目安
バンド録音では、レイテンシ(音の遅れ)と安定性のバランスが大事です。
- サンプリングレート:44.1kHz または 48kHz(どちらかで統一)
- I/Oバッファサイズ:128〜256サンプル程度からスタート
レイテンシが気になる場合は数値を小さく、動作が重くなる場合は数値を大きくする、というイメージです。最初は「256サンプル」で安定性重視にしておくと安心です。
プロジェクトを作成:各パート用のトラックを並べる
オーディオ設定が整ったら、バンド録音用のプロジェクトを作成します。ここでは「ドラム・ベース・ギター・ボーカル」の4人編成を例にします。
新規プロジェクトを作り、テンポと拍子を決める
- Logic Pro起動後のダイアログ、またはメニューバーから 「ファイル」→「新規」 を選択
- テンプレート画面が出たら、まずは 「空のプロジェクト」 を選ぶ
- 「新規トラック」ダイアログでは、とりあえず 「オーディオ」 を1本作成(ステレオではなくモノラルを選択)
画面上部のコントロールバー中央付近に、テンポ(例:120) と 拍子(例:4/4) が表示されています。ここをクリックして、バンドで演奏する曲に合わせて設定しておきましょう。
クリックを使う場合は、コントロールバーのメトロノームアイコンをオンにして、必要に応じて音量を調整します。
各パート用にオーディオトラックを追加する
次に、バンドメンバーごとに録音トラックを作成します。
- トラックヘッダの上部、またはメニューバー 「トラック」→「新規トラック」 から、「オーディオ」 を選択
- 形式は 「モノラル」 を選ぶ(ギター・ベース・ボーカル・ドラムの各マイクは基本モノラル)
- 必要な本数(例:ドラム4本、ベース1本、ギター2本、ボーカル1本など)を追加
- トラック名を 「Kick」「Snare」「OH L」「OH R」「Bass」「Guitar L」「Guitar R」「Vocal」 など、分かりやすく変更
トラック名は後から見返したときに作業効率を大きく左右します。日本語でも英語でもよいので「誰が何を弾いたトラックか」が一目で分かる名前にしておきましょう。
入力の割り当て:インターフェイスの番号とトラックを対応させる
ここがバンド録音で一番大事なポイントです。オーディオインターフェイスの入力1〜8などの番号と、Logic Proのトラックを対応させていきます。
トラックごとに「入力」を設定する手順
- トラックヘッダの左側(チャンネルストリップ)を確認し、「入力」欄(例:Input 1) をクリック
- プルダウンメニューから、対応するインターフェイスの入力番号を選択
例えば、次のように対応させます。
- Input 1 → Kick 用マイク
- Input 2 → Snare 用マイク
- Input 3 → OH L
- Input 4 → OH R
- Input 5 → Bass DI
- Input 6 → Guitar Amp
- Input 7 → Vocal Mic
スタジオのマルチボックスに番号が書いてある場合は、「マルチボックスの1番 → インターフェイスのInput 1 → Logic ProのKickトラック」のように、線でつなぐイメージで整理すると分かりやすいです。
レベルチェック:入力メーターが黄色〜緑ぐらいになるよう調整
各トラックの録音レベルは、「大きすぎず、小さすぎず」が一番大切です。
- 各メンバーに実際の演奏の音量で少し演奏してもらう
- Logic Proのチャンネルストリップにある 入力メーター を見ながら、インターフェイス側のゲインノブを調整
- メーターが常に赤で「ピーク」にならないよう注意(クリップすると音割れ)
- 平均して緑〜たまに黄色になるくらいが目安
これは「写真を撮るときに、明るすぎて白飛びしないよう露出を少し抑える」のと同じイメージです。あとから音量は上げられるので、録音時は余裕を持ったレベルにしておくのがおすすめです。
録音スタイル別:一発録りとパート別録り
バンド録音には大きく分けて、
- 一発録り(全員同時に演奏)
- パート別録り(リズム隊 → ギター → ボーカルなどの順に重ねる)
の2つのパターンがあります。それぞれの特徴と、Logic Pro上での進め方を見ていきましょう。
一発録り(スタジオライブ風)の進め方
一発録りは、ライブに近い空気感を残せるのが魅力です。
- 全てのパートのトラックで 録音待機ボタン(●マーク) をオンにする
- 必要に応じて、クリックを使うかどうかメンバーと相談
- カウント用に、頭に2〜4小節ほど空白の小節を用意しておくと安心
- スペースキーで録音開始(またはコントロールバーの●ボタン)
- 曲の最後まで演奏し終えたら、スペースキーで停止
テイクごとに、リージョンには別々の波形が並びます。気に入ったテイクが録れたら、そのプロジェクトを「ベース」として保存しておきましょう。
パート別録り(ドラム・ベース→ギター→ボーカル)の進め方
より整ったサウンドにしたい場合は、リズム隊から順番に重ねていくパターンがおすすめです。
- まずは ドラム+ベース だけで録音する(クリック有りがおすすめ)
- ドラム・ベースが録れたら、その上に ギター を重ねて録音
- 最後に ボーカル を録る
この方法だと、ミスがあった場合でもそのパートだけ録り直せるので、初めてのバンド録音でも安心して取り組みやすいです。
スタジオライブ録音のコツ:環境ノイズとモニターを整える
スタジオライブ風に録音する場合は、その場の雰囲気を残しつつ、不要なノイズはなるべく減らしたいところです。
クリックの使い方とモニターバランス
- クリックは「ドラムだけに送る」「全員に送る」など、事前に方針を決める
- スタジオのミキサーやヘッドホンアンプを使い、各メンバーが聴きやすいバランスに調整
- ボーカルは自分の声がしっかり聞こえるように、少し大きめにモニターする
クリックの有無はバンドのスタイル次第ですが、「本番に近いテンションで演奏できるかどうか」も大切です。最初はクリックあり・なし両方で短く試してみて、しっくりくる方を選ぶのも良い方法です。
マイク位置とアンプの向きで「回り込み」を減らす
スタジオ録音では、他の楽器の音がマイクに入り込む「回り込み」は完全には避けられませんが、次のようなポイントを意識すると録り音が改善します。
- ギターアンプは、できればドラムから少し離して設置する
- ボーカルマイクは、ドラムに背を向けるように立ち、マイクの背面をドラム側に向ける
- ドラム用オーバーヘッドマイクは、シンバルの音が強くなりすぎない高さ・角度を事前に確認
ここは「スタジオという一つの箱の中で、音の向きを少しずつ整理してあげる」イメージです。完璧にしようとするより、「だいたい良い位置」を見つけるつもりで何パターンか試す方が実践的です。
録音後にやること:ざっくりチェックと簡単なミックス
録音が終わったら、その場で最低限のチェックと、簡単なミックスの準備をしておきましょう。
テイクの確認:頭・サビ・終わりを重点的に聴く
- タイムライン上で、曲の 頭・サビ・終わり の3箇所を再生してチェック
- ノイズや大きなミスがないか、メンバーと一緒に確認
- もし気になる箇所があれば、その部分だけピンポイントで録り直しも検討
全体を細かくチェックすると時間がかかるので、まずは印象が変わりやすい3ポイントに絞って聴くのがおすすめです。
簡単なバランス調整:フェーダーとパンだけでOK
ミックスに入る前に、次の2つだけ整えておくと、後の作業がかなり楽になります。
- フェーダー:各トラックの音量をざっくりとバランスよく
- パン:ギターを左右に少し振る、オーバーヘッドをステレオに広げるなど
この段階では、EQやコンプレッサーを細かくいじらなくても大丈夫です。「ドラム・ベース・ボーカルが気持ちよく聞こえるか?」を目安に、大まかなバランスだけ取っておきましょう。
まとめ:最初はシンプルなセットから始めて、少しずつ発展させよう
ここまで、Logic Proを使ったバンド録音・スタジオライブ収録の基本的な流れを見てきました。
- 結論:「オーディオインターフェイスの入力」と「Logic Proのトラック」を対応させることが一番大事
- 理由:これができていれば、録音レベルの管理やミックスが圧倒的に楽になるから
- 手順:オーディオ設定 → トラック作成 → 入力割り当て → 録音スタイル(一発/パート別)を選んで録る
- まとめ:最初はシンプルな編成・少ないマイク本数から始めて、徐々に機材やトラック数を増やしていけばOK
バンド録音は、難しい理論よりも「実際に録ってみる経験」が何よりの学びになります。最初の1回目はうまくいかなくて当然なので、失敗も含めて「バンドの成長記録」として楽しむくらいの気持ちで取り組んでみてください。
Logic Proでのミックスやマスタリングについては、関連記事でさらに詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。

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