Logic Pro|打ち込み時短テクニック集(量産できるMIDI入力のコツ)
こんにちは、kawaharaです。
この記事では、Logic Proでの「打ち込みをとにかく早く・たくさんこなす」ためのコツをまとめていきます。
ゼロから毎回考えて打ち込むのではなく、“型”を決めて量産するイメージで、ミニチュートリアル形式で手順を紹介していきます。難しい理論よりも、実際の画面上で「ここを押す」「この設定にする」といった即実践できる操作を優先して解説していきます。
すでに「Logic Proで打ち込みを始める方法」などの基本はなんとなく分かった方向けに、作業スピードを一段階引き上げるための考え方とテクニックをギュッと詰め込みました。
「1曲を完璧に仕上げるぞ!」というよりも、まずは8小節のループをサクッと量産するくらいの気軽な気持ちで読み進めてみてください。
打ち込みを「量産」するための考え方
結論:毎回ゼロから作らない「型」を決める
まず大事なのは、毎回ゼロから打ち込まないという考え方です。料理でいうと、毎回フルコースを一から作るのではなく、「下味をつけて冷凍してあるお肉」を使いまわすイメージに近いです。
Logic Proでも、よく使うドラムパターン・ベースの形・コード進行のひな形をあらかじめ用意しておくことで、打ち込みのスタート時間をぐっと短くできます。
理由:アイデア不足ではなく「準備不足」で遅くなっていることが多い
打ち込みが遅いと感じるとき、「自分にはセンスがないのかも」と落ち込みがちですが、実際にはアイデアではなく準備の問題であることがほとんどです。
- 毎回トラック構成を考えるところから始めている
- 毎回キックやスネアの位置を1つずつ打ち込んでいる
- よく使うコード進行やパターンを覚えていない
こうした部分をあらかじめテンプレ化しておくだけで、「打ち込みにかかる時間」よりも「アイデアを考える時間」に集中できるようになります。
ミニチュートリアル:自分専用「基本型プロジェクト」を決める
まずは、どのジャンルでもよく使いそうな構成で、1つ「基本型プロジェクト」を作っておきます。
- キック用ドラムトラック(ソフトウェア音源)
- スネア・クラップ用ドラムトラック
- ハイハット・パーカッション用トラック
- ベース用トラック(シンセでもサンプラーでもOK)
- コード用トラック(ピアノやシンセパッド)
- メロディ用トラック(リードシンセ)
この構成を1回作ったら、あとで解説するテンプレート保存をしておくことで、「新規プロジェクト=すぐ打ち込み開始」という状態にしていきます。
まとめ:型を用意しておくと「打ち込みのしんどさ」が半分になる
いきなり凝ったフレーズを作ろうとするより、まずは最低限のトラック構成+よく使うパターンを用意しておくことで、打ち込みのスタートがかなり楽になります。
次の章からは、その「型」を実際にLogic Proでどう準備しておくかを具体的に見ていきます。
テンプレートプロジェクトで準備を終わらせておく
結論:毎回同じ構成は「テンプレートとして保存」する
Logic Proには、よく使うトラック構成をそのまま保存できるプロジェクトテンプレート機能があります。これを使わないのはかなりもったいないです。
理由:トラック追加・プラグイン挿し直しは「一番の時間泥棒」だから
打ち込みをしているつもりでも、実際には
- トラックを追加して名前をつける
- 毎回同じシンセやドラム音源をインサートする
- 必ず入れるEQやリミッターを挿し直す
といった「準備」にかなり時間を使ってしまっています。テンプレートにしておけば、新規作成した瞬間から打ち込みだけに集中できます。
手順:Logic Proでテンプレートを作る方法
次の手順で、自分専用の打ち込みテンプレートを作成できます。
- ① Logic Proを開いて、新規プロジェクトを作成する(「ファイル」メニュー →「新規」)
- ② よく使うトラックを追加 ─ 画面上部の「+」ボタン → 「ソフトウェア音源」を選択し、キック・スネア・ベース・コード・リードなどのトラックを必要なだけ作成
- ③ 各トラックに基本的なプラグインを挿す ─ トラックのチャンネルストリップで、空いているスロットをクリック → 「EQ」や「コンプレッサー」など、毎回使うものを設定
- ④ メトロノーム設定やテンポもよく使う値にしておく(例:BPM 140、拍子 4/4)
- ⑤ 準備ができたら、上部メニュー「ファイル」→「テンプレートとして保存…」を選択
- ⑥ テンプレート名を「MIDI-Song-Template」など、自分が分かりやすい名前にして保存
次回からは、Logic Pro起動時の「新規プロジェクト」画面で、このテンプレートを選ぶだけで同じ構成からスタートできます。
まとめ:打ち込み前の「5分の準備」を恒久的にゼロにする
一度テンプレートを作っておけば、毎回5〜10分かかっていた準備が、今後ずっと0分になります。この記事の他のテクニックと合わせて、まずはテンプレート作りから始めるのがおすすめです。
ドラムとベースは「ブロック」でまとめて時短する
結論:8小節の「1ブロック」をコピーしてアレンジする
ドラムとベースは、まず8小節のベースになるブロックを1つ作り、コピーして変化をつけるという考え方がおすすめです。
打ち込みがしんどくなるのは、「イントロ」「Aメロ」「Bメロ」「サビ」と全部別々に作ろうとするからです。共通部分はコピペで使い回し、違いが欲しい部分だけ編集する方が圧倒的に速くなります。
理由:ノリは変えずに「バリエーションだけ」追加したいから
リスナーが気持ちよく感じるのは、曲全体で一貫したリズムのノリがあるときです。毎回全く違うパターンを作るよりも、「基本のノリを保ったまま、ちょっとした変化を足す」方が聴きやすくなります。
その意味でも、ドラムとベースは「1ブロックを量産する」という考え方が理にかなっています。
手順:8小節ブロックでドラムとベースを作る
ここでは、シンプルな4つ打ち系の例で手順を紹介します。
- ① テンポを決める(例:BPM 120〜150あたり)
- ② ドラムトラック上で「8小節分のリージョン」を1つ作成 ─ タイムライン上でドラッグして選択 → 「リージョンを作成」をクリック、または空の場所をダブルクリック
- ③ 作成したドラムリージョンをダブルクリックして「ピアノロール」を開く
- ④ 1小節ごとにキックを4分音符で打ち込む(1拍目〜4拍目)
- ⑤ 2拍目と4拍目にスネア(またはクラップ)を打ち込む
- ⑥ ハイハットは8分または16分で打ち込む ─ ピアノロール左側の「クオンタイズ」メニューを「1/16」に設定してから打ち込むとズレにくいです
- ⑦ ベーストラックでも同じく「8小節リージョン」を作成し、コード進行のルート音を意識してシンプルに打ち込む
8小節分のドラム&ベースができたら、タイムライン上でそのリージョンを選択し、
- ⌘+D(Command+D)で複製
- または Optionキーを押しながらドラッグでコピー
といった操作で、曲全体の長さに合わせて並べていきます。
まとめ:土台の8小節を作り込んで「コピー前提」で考える
「Aメロ用のドラム」「サビ用のドラム」と別々に作るのではなく、まずは1つだけ“完成度の高い8小節”を作るイメージで打ち込むと、その後の展開作りがかなり楽になります。
ピアノロールでの時短テクニック(コピー・クオンタイズ・人間味)
結論:コピー+クオンタイズ+少しのズラしで「速く&自然に」
ピアノロールでは、1つ打ち込んでコピーすることと、クオンタイズでタイミングを揃えることが、時短の要になります。そのうえで、少しだけノート位置をズラすと人間味も出せます。
理由:手打ちで完璧にそろえるのは時間もかかるし疲れる
すべてのノートをマウスで1個ずつ置いていると、時間もかかるし、あとから修正するのも大変です。Logic Proのピアノロールには、
- ノートの複製(コピー)
- クオンタイズでの自動補正
- ベロシティ(音の強さ)の一括調整
など、時短に直結する機能が揃っています。これらをうまく使うと、同じフレーズをかなり高速で量産できます。
手順:ピアノロールでの基本時短ワークフロー
ここでは、ハイハットパターンを例に、ピアノロールでの時短手順を紹介します。
- ① ドラムトラックのハイハット用リージョンをダブルクリックし、「ピアノロール」を開く
- ② 1拍目の位置にハイハットを1つだけ打ち込む
- ③ 打ち込んだノートを選択し、Optionキーを押しながら右方向へドラッグ ─ これでコピー&ペーストができます
- ④ 必要な長さになるまで、同じ要領でコピーを繰り返す(または⌘+Rで繰り返し)
- ⑤ ピアノロール左側の「クオンタイズ」メニューで「1/16」などの値を選ぶ
- ⑥ すべてのハイハットノートを選択し、一度クオンタイズをかけてタイミングを揃える
- ⑦ その後で、いくつかのノートを少しだけ前後にズラして「機械すぎない」ニュアンスをつける ─ Ctrl+Shiftを押しながらドラッグすると、グリッドに縛られず細かくズラせます
- ⑧ ベロシティツールまたはピアノロール下部のベロシティスライダーで、強弱をつける
まとめ:まず「きれいに揃える」→「少し崩す」の二段構え
ピアノロールでは、最初からニュアンスまで完璧に打ち込もうとせず、
- ① コピーとクオンタイズで土台をきれいに揃える
- ② そのあと少しだけズラして人間味を足す
という二段構えにすることで、速さとクオリティを両立しやすくなります。
メロディ打ち込みをミニチュートリアルで分解する
結論:「4小節のミニ課題」を大量に作る感覚で練習する
メロディ打ち込みは、1曲丸ごとをいきなり作ろうとするとかなりハードルが高く感じます。そこでおすすめなのが、4小節だけのミニ課題をたくさん作るというやり方です。
理由:短いループなら試行錯誤の回数を増やしやすい
4小節のループなら、
- キー(調)を変えて試す
- リズムだけ変えてみる
- 音域を変えてみる
といった試行錯誤をすぐに繰り返せます。これがフル尺だと、1回の試行に時間がかかりすぎて、量産しづらくなってしまいます。
手順:4小節メロディを量産するミニチュートリアル
以下の手順で、短いループをサクサク作っていきましょう。
- ① リード用トラックで「4小節分のリージョン」を作成
- ② ピアノロールを開き、使う音を3〜4つに絞る ─ 例:Cメジャーなら「C・E・G・A」だけを使う など
- ③ まずはリズムだけを決める ─ 例:1拍目・2拍目裏・3拍目・4拍目裏…など、音の高さを変えずにリズムだけ打ち込む
- ④ リズムが決まったら、あとから音程を上下させて「歌えそうな形」に整える
- ⑤ 4小節できたら、リージョンを複製して、2つ目のループでは1〜2音だけ変えてバリエーションにする
この「4小節ループ x バリエーション」の組み合わせをいくつか作っておくと、後で曲を組むときの“メロディのネタ帳”として活躍します。
まとめ:完成度より「数」を優先して打ち込む
メロディは「1つの完璧なフレーズ」よりも、たくさんの普通のフレーズを持っている方が、結果的に良いものを選びやすくなります。
4小節ループをどんどん量産して、「今日は3ループ作ったら終了」といった小さな目標を設定していくと、打ち込みの習慣もつきやすいです。
打ち込み量産のための小さなルールづくり
結論:「やること・やらないこと」を決めて迷いを減らす
最後に紹介するのは、ちょっとメンタル寄りの話ですが、打ち込みを量産したいなら「今日はここまででOK」というラインを決めておくのがおすすめです。
理由:毎回クオリティを求めすぎると続かない
打ち込みの途中で「なんか微妙だな…」と思ってしまい、そこで作業が止まってしまうことはよくあります。量産モードの日は、
- ・音色選びは「だいたいこれでOK」と割り切る
- ・ミックスは触らず、打ち込みだけで終える
- ・1プロジェクトあたりの作業時間を30分以内にする
など、自分なりのルールを決めることで、「とりあえず数をこなす」ことに集中しやすくなります。
手順:量産モード用のマイルール例
- ① 1セッションで「8小節ループを2つ作ったら終了」
- ② 使う音源はテンプレートに用意したものだけに限定する
- ③ ミックス系のプラグインは触らない(音量バランスだけ調整OK)
- ④ 書き出しはしなくてOK。「MIDIアイデア集」プロジェクトとして保存しておく
こういったルールを決めておくと、「今日はあまり良いフレーズができなかった…」よりも「とりあえず2パターン作れた!」という達成感を得やすくなります。
まとめ:打ち込みのコツ=「準備」+「型」+「続けられる仕組み」
ここまで見てきたように、打ち込みを量産するコツは、決して特別なテクニックだけではありません。
- テンプレートで準備を終わらせておく
- 8小節ブロックを作ってコピー前提で考える
- ピアノロールのコピー&クオンタイズをフル活用する
- 4小節メロディを小さく量産してネタ帳を作る
- 量産モード用のマイルールで「今日はこれでOK」にする
このあたりを意識していくと、気づいたときには「昔より打ち込みのスピード上がってない?」と実感できるはずです。
ピアノロールのもっと細かい操作や、ショートカットを使った時短テクは、関連記事でより詳しく解説しているので、合わせてチェックしてみてください。

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