Logic Proビートメイク入門|8小節ループから1曲仕上げるまでの作り方
こんにちは、kawaharaです。
この記事では、Logic Proを使って「まず8小節のビート」を作り、それを少しずつ広げて1曲として完成させるまでの流れを、初心者向けに丁寧に解説します。
いきなり「フル尺の曲を作ろう!」とすると、どこから手をつけていいかわからなくて手が止まってしまいがちです。そこで今回は、短い8小節のループから少しずつ大きくしていくという考え方で進めていきます。
この記事はLogic Proカテゴリの基礎記事です。 Logic Proでビートメイクの流れをつかみたい方は、まずここから読んでみてください。
イメージとしては、最初に「1枚の部屋のレイアウト」を作ってから、その部屋をコピペして「2LDKの間取り」にしていくような感じです。小さな部屋(8小節)がしっかりしていれば、あとは組み合わせるだけで曲として形になっていきます。
それでは、順番に見ていきましょう。
Logic Proでビートメイクを始める前に|全体像とゴール
まず最初に、この記事でどこまで出来るようになるか、ゴールをはっきりさせておきます。
この記事で目指すゴール
この記事のゴールは、Logic Proで次のことができるようになることです。
- テンポ・キーを決めて、8小節のループを作れるようになる
- ドラム・ベース・コードを重ねてビートの土台を作れる
- その8小節をコピーしながら、イントロ〜アウトロまでの曲構成を組める
- ラフミックスをして、1つのオーディオファイルとして書き出しまでできる
「音楽理論が完璧じゃないとダメ?」という不安は一旦置いておいて、とにかく1曲を最後まで作り切る体験を大事にしていきます。
ビートメイクの基本フロー(結論)
先に、この記事で解説するビートメイクの流れ(結論)をまとめておきます。
- ① 準備:新規プロジェクトを作成し、テンポ・キー・8小節の範囲を決める
- ② ドラム:キック・スネア・ハイハットなどで8小節のリズムパターンを作る
- ③ ベース&コード:ドラムに合うベースラインとコードを重ねて土台を作る
- ④ 展開:8小節ループをコピーしながら、イントロ・Aメロ・サビなどに広げる
- ⑤ 仕上げ:ラフミックスをして、オーディオとして書き出す
このあと、理由 → 手順 → まとめの順番で、ひとつずつ具体的に見ていきます。
準備編|新規プロジェクトと8小節ループの設定
まずはLogic Proのプロジェクトを用意して、「8小節の箱」を先に作ってしまいます。キャンバスのサイズを最初に決めるイメージです。
新規プロジェクトとテンポ・キーの設定
新しくビートメイク用のプロジェクトを作成する手順は次のとおりです。
- 画面上部のメニューバーから「ファイル」→「新規」をクリック
- ダイアログが出たら、「空のプロジェクト」を選択して「選択」をクリック
- 最初のトラックを聞かれたら、ここでは「ソフトウェア音源」を選んで「作成」をクリック
続いて、テンポとキーを決めます。
- 画面上部のコントロールバー中央のテンポ表示(例:120.0)をクリックし、数値を入力
- kawaii・lofi系なら、90〜110 BPMあたりから始めると扱いやすいです
- コントロールバー右側の「キー」表示(例:Cmaj)をクリックして、よく使うキー(C、F、Gなど)を選びます
ここでは、例としてテンポ 100 BPM、キー Cメジャーで進めていきます。
ルーラーで8小節ループの範囲を作る
次に、「ここからここまでが8小節」という範囲を決めます。これは、曲全体を作るときの「基準の箱」になります。
- メインウインドウ上部のルーラー(小節が書いてあるバー)で、1小節目の上をクリック
- そのまま9小節目までドラッグして、黄色いループ範囲を「1〜9小節」にします
- ループボタン(コントロールバー上部のループアイコン)がオンになっていると、再生時にこの範囲だけループします
これで、再生すると常に同じ8小節がぐるぐる回る状態になります。ここにビートを組んでいきます。
実践①|ドラムパターン(リズム)の作り方
ビートメイクの中心は、やはりドラム(リズム)です。ここでは、キック・スネア・ハイハットを使った基本的なパターンを作っていきます。
ドラムトラックを追加する手順
まずはドラム音源のトラックを作ります。
- 画面上部のメニューバーから「トラック」→「新規トラック…」をクリック
- 「ソフトウェア音源」が選ばれていることを確認し、「作成」をクリック
- 画面左側のライブラリ(ショートカット:Y)で、「ドラムマシン」や「Drum Machine Designer」など好みのキットを選択
kawaii・lofi系なら、スネアが柔らかく、キックもドスンというよりポコッとした音を選ぶと雰囲気が出ます。
8小節のドラムパターンを打ち込む
次に、Piano Rollでドラムパターンを打ち込んでいきます。
- ドラムトラック上の空白部分を8小節分ドラッグしてリージョンを作成(またはダブルクリック)
- 作成したMIDIリージョンをダブルクリックして、Piano Rollを開く
- キック、スネア、ハイハットのキーを確認し、それぞれのノートを打ち込む
まずは、次のような基本パターンから始めるとわかりやすいです。
- キック:1拍目と3拍目
- スネア:2拍目と4拍目
- ハイハット:8分音符でチッチッチッと刻む
慣れてきたら、次のような工夫でグルーヴを出していきましょう。
- 1〜2小節ごとに少しだけパターンを変える(フィルを入れる)
- ハイハットを、ベロシティ(音の強さ)を上下させて人間味を出す
- クオンタイズを少しだけ弱める(100%ではなく70〜80%)ことで機械っぽさを減らす
この8小節ループが、あとから曲全体の「心臓部分」になっていきます。
実践②|ベースとコードでビートの土台を作る
ドラムができたら、次はベースとコードで土台を作ります。これは、部屋づくりでいう「床」と「壁」のようなイメージです。
ベーストラックを作成する手順
ベース用のソフトシンセトラックを追加していきます。
- メニューバーから「トラック」→「新規トラック…」をクリック
- 「ソフトウェア音源」を選び、「作成」をクリック
- ライブラリから、「Bass」カテゴリの中から好みの音色を選択(シンプルなサイン波ベースもおすすめ)
MIDIリージョンを8小節分作り、Piano Rollでベースラインを打ち込みます。最初は次のようなシンプルな形から始めてOKです。
- 1小節に1つ、ルート音(キーがCならC)を伸ばして置く
- 慣れてきたら、キックに合わせて音のタイミングを増やしていく
大事なのは、ドラムのリズムとベースのリズムが喧嘩していないかを耳でチェックすることです。低音がゴチャゴチャしないように、シンプルめから始めるのがおすすめです。
コードパッドやシンセを重ねる
次に、雰囲気を作るコードパッドやシンセを重ねていきます。
- 再度「ソフトウェア音源」トラックを追加
- ライブラリから、「Pads」や「Synthesizer」カテゴリの音色を選ぶ
- MIDIリージョンを8小節分作り、2〜4和音のコードを打ち込む
コードが難しい場合は、C - Am - F - Gのような定番進行を8小節で回してみるのがおすすめです。
この段階で、「ドラム+ベース+コード」の8小節ができていれば、かなりビートらしく聴こえてくるはずです。
実践③|8小節ループから曲構成に広げる
ここからは、作った8小節ループを「コピーして並べる」ことで、曲の構成に広げていきます。
リージョンをコピーして構成を作る
まずは、タイムラインをざっくりと次のような構成にしてみましょう。
- イントロ:8小節
- Aメロ:8小節
- サビ:8小節
- アウトロ:8小節
やり方はとてもシンプルです。
- 8小節ループのリージョンをすべて選択(ドラッグやショートカットで選択)
- Optionキーを押しながら右にドラッグして、リージョンをコピー
- これを繰り返し、イントロ〜アウトロまで必要な長さになるように並べる
コピーしただけだと全部同じになってしまうので、次のステップで「引き算」と「足し算」をして変化をつけていきます。
展開と変化の付け方(引き算と足し算)
同じループでも、鳴らすパートを変えるだけで、しっかり展開をつけることができます。
- イントロ:ドラムを抜いて、コードと簡単なフレーズだけにする
- Aメロ:キックを少し控えめにして、ベースもシンプルに
- サビ:全パートを鳴らして、一番盛り上がる状態に
- アウトロ:少しずつパートを減らしてフェードアウトしていく
ポイントは、「毎回まったく新しいフレーズを考えなくていい」ということです。ひとつの8小節を基準にして、パーツを増やしたり減らしたりするだけでも、曲として十分に聴かせることができます。
仕上げ編|ラフミックスとオーディオ書き出し
最後に、ラフミックスと書き出しの手順をまとめます。ここでは細かいミックスのテクニックというより、最低限の聞きやすさを整えることをゴールにします。
音量バランスと簡単な処理
ミックスの基本は、まず音量バランスとパン(左右の位置)です。
- ミキサーを開く(ショートカット:X)
- キック・スネア・ベースを少し大きめに、メロディやパッドはそれに馴染むように調整
- シンセやパッドは、パンを左右に少し広げると、センターがスッキリします
サイドチェインなどのポンピング感を出したい場合は、別記事の「Logic Pro|サイドチェイン完全ガイド」も参考にしてみてください。
オーディオファイルとして書き出す
曲の形が整ったら、オーディオファイルとして書き出します。
- 書き出したい範囲(曲全体)がループ範囲に入っていることを確認
- メニューバーから「ファイル」→「バウンス」→「プロジェクトまたはセクション…」を選択
- フォーマットをWAVまたはAIFF、必要ならMP3もオンに
- 保存先フォルダとファイル名を決めて、「OK」「バウンス」をクリック
これで、Logic Proで作ったビートが1曲分のファイルとして完成します。ここまで来られれば、立派な「ビートメイク完走」です。
まとめ|8小節ループから始めればビートメイクは怖くない
今回は、Logic Proを使って8小節のループから1曲を仕上げるまでの流れを紹介しました。
- 準備:テンポ・キー・8小節の範囲を決める
- ドラム:キック・スネア・ハイハットでリズムの芯を作る
- ベース&コード:低音と和音でビートの土台を作る
- 構成:8小節ループをコピーして、パートごとに引き算・足し算で展開
- 仕上げ:ラフミックスをして、オーディオとして書き出す
最初から完璧な曲を目指す必要はありません。まずは短いループを作り、それを少しずつ大きくしていくだけでも、十分に「ビートメイク」の感覚をつかむことができます。
慣れてきたら、サイドチェインやエフェクト、テンプレート化などを活用して、もっと効率よくクオリティを上げていきましょう。

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