Logic Proプロジェクト管理入門|ファイル整理と名前の付け方完全ガイド
こんにちは、kawaharaです。
この記事では、Logic Proのプロジェクト管理(ファイル整理・命名ルール)の基本を、初心者の方向けにわかりやすくまとめました。
プロジェクトの管理は、家づくりでいうと「収納の配置」を決めるようなものです。最初にルールを決めておくと、あとから「どこに片付けたっけ?」と迷子になりにくくなり、PCのトラブルにも強くなります。
この記事はカテゴリの基礎記事です。 Logic Proの他の記事とセットで読むことで、よりスムーズにDTMを進められるように構成しています。
結論からお伝えすると、「フォルダ構成」と「名前の付け方」と「バックアップ」を最初に決めておくだけで、後のトラブルの8割は防げます。
ここからは、結論 → 理由 → 手順 → まとめの流れで、ひとつずつ整理していきます。
Logic Proのプロジェクト管理の基本的な考え方
結論:"すぐ探せる"状態をキープするのがゴール
プロジェクト管理のゴールは、「1ヶ月前の曲でも、数秒で見つけて開ける状態」をつくることです。
曲が増えてくると、デスクトップや「書類」フォルダにプロジェクトが散らばりがちですが、これはあとから必ず困ります。フォルダ構成と名前のルールを先に決めておくことで、「整理が苦手でも自然と整った状態になる」ようにしておくのがポイントです。
なぜプロジェクト管理が大事なのか(理由)
プロジェクト管理をしていないと、次のようなトラブルが起きやすくなります。
- どのフォルダに保存したかわからず、プロジェクトが見つからない
- オーディオファイルの参照先がバラバラで、他のPCに移すと音が鳴らない
- 同じ曲のファイルが「最終」「本当の最終」「ホントの本当の最終」など乱立する
- バックアップを取っていなくて、PCトラブル時にプロジェクトごと消えてしまう
逆に言えば、フォルダ構成・ファイル名・バックアップの3つさえ整えておけば、これらのトラブルはかなり防げます。
Logic Proのプロジェクト構造をざっくりイメージ
Logic Proのプロジェクトは、基本的に次のようなイメージで構成されています。
- プロジェクトファイル(.logicx) … 曲の設定やトラック構成などを保存
- オーディオファイル … 録音した音・読み込んだサンプルなど
- バウンスファイル … 完成したWAVやMP3などの書き出しデータ
この3つを「ひとつの曲フォルダ」にまとめておくイメージで、この記事では整理方法を解説していきます。
最初に決めるフォルダ構成と保存場所
結論:DTM専用フォルダを作り「曲ごとのフォルダ」で管理する
まずは、Macの中にDTM専用の親フォルダを作り、その中に「曲ごとのフォルダ」を作っていくのがシンプルでおすすめです。
例えば、次のような感じです。
- Music(ミュージック)
- └ DTM_Projects
- └ 2025-01_kawaii-lofi_Astronomical-Twilight
- └ 2025-02_future-bass_Usagi-like-track
親フォルダ名や曲フォルダ名は自分好みでOKですが、日付+ジャンル+曲の仮タイトルを入れておくと、あとから見返したときに探しやすくなります。
DTM用の親フォルダを作る手順(Finder)
- ① DockからFinderを開く
- ② 左側のサイドバーから「ミュージック」または「書類」を選択
- ③ フォルダ内の何もない場所で右クリック > 新規フォルダを選択
- ④ フォルダ名を「DTM_Projects」など、わかりやすい名前にする
このフォルダが、今後のすべてのLogic Proプロジェクトの「家」になります。
曲ごとのフォルダを作成してからLogic Proを保存する
新しい曲を作るときは、先にFinderで「曲フォルダ」を作ってから保存する流れにするとスムーズです。
- ① 先ほど作ったDTM_Projectsフォルダを開く
- ② 右クリック > 新規フォルダを選択
- ③ フォルダ名を「2025-01_kawaii-lofi_Astronomical-Twilight」のように、「日付_ジャンル_曲名」でつける
- ④ Logic Proで新規プロジェクトを作成し、ファイル > 名前を付けて保存から、いま作った曲フォルダを選ぶ
こうしておくと、「曲ごとにフォルダが分かれている」状態になり、音声ファイルやバウンスも1か所にまとまります。
プロジェクト名・ファイル名の付け方ルール
結論:日付+用途+バージョン番号の3点セットが便利
ファイル名は、「YYYYMMDD_用途_v01」のように、日付+用途+バージョンを入れるのがおすすめです。
例:
- 20250115_track-A_demo_v01.logicx
- 20250115_track-A_mix_v02.logicx
こうしておくと、「いつ・どの段階のファイルなのか」が一目でわかり、「ホントの最終どれ問題」を防げます。
Logic Proプロジェクト名の具体例
プロジェクト名の具体的なパターンをいくつか紹介します。
- 20250115_kawaii-lofi_AstronomicalTwilight_song_v01.logicx
- 20250118_kawaii-lofi_AstronomicalTwilight_mix_v01.logicx
- 20250120_kawaii-lofi_AstronomicalTwilight_master_v01.logicx
「song(アレンジ中)」「mix(ミックス段階)」「master(マスタリング段階)」のように用途を分けておくと、作業内容ごとに整理しやすくなります。
バウンス(書き出し)ファイル名の付け方
書き出したWAVやMP3も、プロジェクト名と同じルールでつけておくと管理が楽です。
- 20250120_AstronomicalTwilight_mix_v01.wav
- 20250120_AstronomicalTwilight_master_v01.wav
- 20250120_AstronomicalTwilight_master_v01_mp3.mp3
書き出し時の操作も確認しておきましょう。
- ① Logic Pro上部メニューから「ファイル > バウンス > プロジェクトまたはセクション…」を選択
- ② 表示されたウィンドウで「PCM」にチェックを入れ、フォーマットをWAV、ビット深度を24 bitなどに設定
- ③ ファイル名入力欄に、先ほどのルールに沿って名前を入力
- ④ 保存先は、曲フォルダ内の「Bounce」フォルダ(なければ作成)を指定
「Bounce」という名前のフォルダを曲フォルダ内に作っておけば、書き出しデータだけを簡単に見つけられます。
トラック・リージョン・マーカーで中身を整理する
トラック名と色分けルールを決める
プロジェクトの中身を開いたときに、「どの音がどこか一瞬でわかる」ことが大事です。そのために、トラック名と色分けのルールを決めておきましょう。
- ドラム系:「DR_Kick」「DR_Snare」「DR_Hat」など、頭に「DR_」をつける
- ベース系:「BS_Sub」「BS_Mid」など、頭に「BS_」をつける
- シンセ系:「SY_Lead」「SY_Pluck」など、頭に「SY_」をつける
- ボーカル系:「VO_Main」「VO_Double」「VO_Harmony」
色分けは「ドラムはオレンジ」「ベースは青」「コードは緑」など、自分の中で統一ルールを作っておくと、どの曲でも視認性が上がります。
トラックの色を変えるには、
- ① トラックヘッダ(左側のトラック名の部分)を右クリック
- ② 「トラックカラーを表示」を選択
- ③ 好きな色をクリックして設定
リージョン名とマーカーで曲構成を見える化
リージョンにも名前をつけておくと、コピー&ペーストしたときにどの役割のフレーズかわかりやすくなります。
- ① ピアノロール上またはアレンジウィンドウで、名前を変更したいリージョンを選択
- ② キーボードの「Return」キーを押す
- ③ 名前入力欄に「Hook_Lead」「Verse_Pad」など役割がわかる名前を入力
曲全体の構成を把握するには、マーカー機能が便利です。
- ① 上部の「グローバルトラック」を表示していない場合は、トラックエリア上部で右クリック > グローバルトラックを表示
- ② グローバルトラックから「マーカー」を表示
- ③ 曲の頭に「Intro」、Aメロに「Verse」、サビに「Chorus」などマーカーを追加
これで、「どこがサビか」「どこをループして作業すればいいか」が一目でわかるようになります。
テンプレートと組み合わせてさらに時短
よく使うトラック構成や色分けルールが固まってきたら、テンプレート化しておくとさらに便利です。
- ① ベーシックなトラック構成(ドラム・ベース・コード・リードなど)を作る
- ② トラック名・色分け・バスルーティングを整える
- ③ 上部メニューから「ファイル > テンプレートとして保存…」を選択
- ④ 「Kawaii-FutureBass-Template」など名前をつけて保存
次回から新規プロジェクトを作るときに、このテンプレートを選べば、毎回ゼロから整理し直す必要がなくなります。
バージョン管理とバックアップで事故を防ぐ
Project Alternativesでバージョンを分ける
「アレンジA」と「アレンジB」を試したいとき、別ファイルにしても良いですが、Logic ProのProject Alternatives(代替プロジェクト)を使うと、ひとつのプロジェクト内でバージョンを管理できます。
- ① 上部メニューの「ファイル」をクリック
- ② 「プロジェクト設定」を開き、必要であれば保存形式を確認
- ③ メインウィンドウ上部のプロジェクト名の右側にある小さな三角マークをクリック
- ④ 「代替プロジェクトを新規作成」を選択し、「Ver_A」「Ver_B」など名前をつける
こうしておけば、1つのファイル内でバージョンを切り替えたり、前の状態に戻したりしやすくなります。
バックアップの基本:Time Machine+外付けSSD
DTMデータは容量が大きいので、外付けSSDやTime Machineでのバックアップをおすすめします。
- ① 外付けSSDをMacに接続
- ② FinderでDTM_Projectsフォルダを選択
- ③ SSD側にドラッグ&ドロップしてコピー(最低でも週1回がおすすめ)
- ④ 可能であれば、MacのTime Machineもオンにして、全体の自動バックアップも併用
バックアップは「1か所だけ」だと、そのストレージが壊れたときに一緒に失うリスクがあります。余裕があれば、外付けSSD+クラウドなど、2か所以上に保存しておくと安心です。
いらないデータを整理して軽くする
プロジェクトが増えてくると、HDD/SSDの容量も圧迫されます。次のようなデータは、定期的に整理しておきましょう。
- テストで書き出した古いバウンス(試し書き出し)
- 使わなくなったProject Alternativesのバージョン
- 完全にボツになったプロジェクト(必要であれば、最終版だけ残してアーカイブ)
「DTM_Archive」フォルダを作って、古い曲フォルダをそこに移動するだけでも、現役のプロジェクトが見やすくなります。
今日から使えるプロジェクト管理チェックリスト
新しく曲を作る前のチェック
- □ DTM_Projectsのような親フォルダは作ってあるか
- □ 親フォルダの中に、「YYYY-MM_ジャンル_曲名」形式で曲フォルダを作ったか
- □ Logic Proの保存先が、その曲フォルダになっているか
作業中のチェック
- □ プロジェクト名に日付+用途+バージョンが入っているか
- □ トラック名・色分けのルールが統一されているか
- □ リージョン名やマーカーで、構成がわかりやすくなっているか
- □ 大きな変更をするときに、Project Alternativesでバージョンを分けているか
完成後のチェック(書き出し〜アーカイブ)
- □ バウンスファイル名にも、日付+曲名+用途+バージョンが入っているか
- □ 曲フォルダ内に「Bounce」「Reference」「Export」など、用途別フォルダを作って整理したか
- □ 完成データを外付けSSDやクラウドにバックアップしたか
- □ 一旦終わったプロジェクトは、DTM_Archiveフォルダに移して現役プロジェクトと分けたか
最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、「毎回同じルールで作業する」ことで、だんだんと意識せずに整理された状態を保てるようになります。
Logic Proの操作自体に慣れてきたら、ぜひプロジェクト管理もセットで見直してみてください。

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