DTM初心者向け|耳コピのやり方と練習ステップ(メロディ・コード・リズム)
こんにちは、kawaharaです。
この記事では、DTM初心者の方に向けて、耳コピ(曲を聴きながらメロディやコードを写し取る作業)の基本と具体的なやり方を、ステップごとに丁寧に解説していきます。
耳コピは、例えるなら好きなイラストをトレースしながら「線の引き方」を学ぶ作業にとてもよく似ています。最初は「全然同じにならない…」と感じますが、やり方さえ押さえれば、少しずつ耳が育っていきます。
本記事は、DTMカテゴリにおける耳コピ・聴音の基礎をまとめた、カテゴリの基礎記事です。これから耳コピを習慣にしていきたい方は、ブックマークして何度も見返してみてください。
結論から先にお伝えすると、耳コピは「短く区切る」+「メロディ → ベース → コード → リズム」の順番で進めると圧倒的にラクです。この記事ではその理由と、具体的な手順を順番に解説していきます。
まずは耳コピの全体像とゴールを確認し、そのあとに準備・具体的なステップ・練習メニューの順で見ていきましょう。
耳コピの結論と全体像
結論:短く区切って「要素ごと」に耳コピする
耳コピの結論はとてもシンプルです。曲を1〜2小節ずつの短いかたまりに分けて、メロディ → ベース → コード → リズムの順で写し取ることです。
いきなりフルコーラスをそのまま耳コピしようとすると、情報量が多すぎて挫折しがちです。まずはサビの1〜2小節だけなど、小さい「パズルのピース」を少しずつ揃えていくイメージで取り組みましょう。
また、耳コピでは次のような要素を分けて考えると上達が早くなります。
- メロディ(歌・リード楽器のライン)
- ベース(低音の動き、コードの土台)
- コード(和音の種類・進行)
- リズム(ドラム・パーカッションのパターン)
この4つを一度に全部聞き取ろうとしないのが、ストレスなく耳コピを続けるコツです。
理由:耳コピは「作曲・アレンジ・ミックス」全部の土台になる
耳コピが大事な理由は、好きな曲の中で起きていることを「言葉」と「手」で再現できるようになるからです。
- 作曲:メロディの動き方・おしゃれなコード進行が体に染み込む
- アレンジ:どのタイミングで楽器が増えるのか、どこで抜いているのかが分かる
- ミックス:どの帯域が強いのか、どの音が前にいるのかを意識して聴けるようになる
語学でいう「シャドーイング」のように、耳コピを繰り返すことで、頭の中に「良い曲のテンプレート」が増えていきます。そのストックが、のちのち自分のオリジナル曲を作るときに大きな武器になってくれます。
耳コピを始める前の準備(環境・設定)
必要な機材・ソフトのチェックリスト
まずは耳コピ用の「作業環境」を整えましょう。最低限、次のようなものがあると快適です。
- DAWソフト(Logic Pro / Studio One / Ableton Liveなど)
- オーディオインターフェイス+ヘッドホン(周りの音に邪魔されず集中できる)
- 鍵盤(MIDIキーボード)またはピアノロールで音程を探せる環境
- 曲の音源(WAV / MP3 / ストリーミングのいずれか)
鍵盤がなくても耳コピはできますが、ピアノロール上で音程を目で確認できると、理解が一気に早くなるので、MIDIキーボードがあるとかなりラクになります。
DAW側でやっておきたい設定(ループ・スロー再生など)
耳コピ用に、DAWの画面と設定を少しだけ整えておきましょう。ここでは例として、一般的なDAWで共通する機能と、Logic Proを使った場合の位置をセットで書いておきます。
- ループ再生
→ 上部のタイムラインで、耳コピしたい範囲(1〜2小節)をドラッグしてループ範囲を指定します。
→ Logic Proなら、タイムライン上部の「黄色いバー(サイクル範囲)」をドラッグして設定します。 - 再生スピードを遅くする
→ DAWの「タイムストレッチ機能」または「再生速度(Varispeed)」を使って、原曲の80〜90%くらいまで速度を落とします。
→ Logic Proなら、コントロールバー右クリック →「コントロールバーとディスプレイをカスタマイズ」→「Varispeed」にチェックを入れて表示し、「-10〜-20%」程度に設定します。 - 耳コピ用トラック
→ ソフトウェア音源トラックを1本用意し、ピアノなど音程が分かりやすい音色を挿します。
→ ここにMIDIで打ち込みながら、原曲と聞き比べていきます。
この準備をしておくだけで、後の作業スピードと集中力がかなり変わってきます。
ステップ①:短いフレーズに区切って聴く
手順:1〜2小節だけを繰り返し再生する
耳コピの最初のステップは、とにかく曲を細かく区切ることです。サビ全体ではなく、まずは1〜2小節のフレーズに絞りましょう。
- ① DAWに原曲のオーディオを読み込む(ドラッグ&ドロップでOK)
- ② 耳コピしたい部分(サビの頭など)を見つける
- ③ タイムライン上で1〜2小節分をドラッグしてループ範囲に設定
- ④ ループ再生ボタンをオンにして、何度も繰り返し聴く
ここではまだ、無理に音程を取ろうとせず、「どんな雰囲気のフレーズなのか」「音の高低がどう動いているか」をざっくりと掴むイメージでOKです。
コツ:聞き分けやすくするための工夫
原曲によっては、音が重なりすぎてメロディが聞き取りにくい場合もあります。そんなときは次のような工夫をすると聞きやすくなります。
- 曲全体のボリュームを少し下げ、ヘッドホンで集中して聴く
- メロディを追いたい場合は、イコライザーで中〜高音域(2〜5kHz)を少し持ち上げる
- ベースを追いたい場合は、高域を少しカットして低域(100Hz付近)を強調する
こうすることで、自分が耳コピしたいパートだけが少し前に出て聞こえるようになり、細かい音の動きが掴みやすくなります。
ステップ②:メロディを耳コピする
手順:歌って → 鍵盤で探して → MIDIに打ち込む
メロディの耳コピは、次のような「3ステップ」で考えるとスムーズです。
- ① まずは口ずさむ
→ ループ再生しながら、実際に「ラララ」でいいので歌ってみます。
→ 正確に歌えなくてもOKですが、「音が上がる・下がる」の流れだけは掴んでおきましょう。 - ② 鍵盤 or ピアノロールで音を探す
→ ピアノトラックをソロにして、鍵盤で1音ずつ試しながら「同じ高さの音」を探します。
→ Logic Proであれば、ソフトウェア音源トラックを選択 → ピアノの音色(Steinway Grand Pianoなど)をセット → 鍵盤で確認します。 - ③ 見つけた音をMIDIに打ち込む
→ 見つかった音を、ピアノロール上にマウスでクリックして入力していきます。
→ ループ再生して、原曲と自分のMIDIを交互にミュートしながら聞き比べて微調整します。
最初は1音ずつ時間をかけて構いません。「なんとなくそれっぽい」→「ほぼ同じ」まで詰めていく作業だと考えると、気持ちがラクになります。
つまずきやすいポイントと対処法
メロディ耳コピでよくある悩みと、その対策をまとめておきます。
- 音が高すぎて歌えない
→ オクターブ下げて歌ってOKです。ピアノロール上では、正しいオクターブ位置に直せば問題ありません。 - 1音ずつなら取れるけど、長いフレーズになると混乱する
→ さらに半分に区切って、1小節 → 2小節 → 4小節と、「パーツを繋げていく感覚」で組み立てましょう。 - シャッフル・スウィング系のリズムが難しい
→ 先に「だいたいの音程」を揃えてから、最後にリズムだけを微調整するほうがラクです。
ステップ③:ベースとコードを耳コピする
手順:ベース → コードの順に攻める
コードを耳コピするときは、いきなりコードネームを当てにいくのではなく、まずベース(ルート音)を取ってからコードに発展させるのが王道です。
- ① ベースを聞き取りやすくする
→ イコライザーで高域を少しカットし、低域をほんの少し持ち上げます。
→ 必要なら一時的にメロディトラックのボリュームを下げておきます。 - ② 鍵盤でベース音を探す
→ ループ再生しながら、低い音域で1音ずつ弾いて「同じ高さ」の音を探します。
→ 見つかったら、ピアノロールに1小節分ずつ打ち込みましょう。 - ③ ベースをもとにコードを推測する
→ ルート音が分かったら、その上に「3度・5度」を重ねてトライアド(3和音)を作ります。
→ メジャーかマイナーか迷う場合は、3度の音を半音上下させて、原曲に近い方を選びます。
最初は「CかAmか分からない…」ということも多いですが、ベースの動きだけでも押さえておくと、アレンジの理解が一気に進むので、完璧なコードネームを目指しすぎなくて大丈夫です。
コードがどうしても分からないときのヒント
どうしてもコードが特定できないときは、次のようなヒントを使ってみてください。
- メロディとベースの「共通音」を探す
- よくある進行(例:C → G → Am → F など)を一度当てはめてみる
- テンションコードだと割り切り、「ざっくりしたコード感」だけ再現する
耳コピの目的は、「原曲を100%完全再現すること」ではなく、曲の仕組みを自分の引き出しにすることです。迷ったときは、完璧主義よりも「実践で使えるレベル」を目指しましょう。
ステップ④:リズムパターンを耳コピする
キック・スネア・ハイハットを分解して聴く
リズムの耳コピでは、まず「キック」「スネア」「ハイハット」の3つに分けて考えると分かりやすくなります。
- ① キックの位置を先に決める
→ 1小節の中で、「ドン」と一番低くて強い音が鳴る位置を、ピアノロール上のキックに打ち込みます。 - ② スネア(またはクラップ)の位置を確認
→ 多くの曲では、4分の4拍子なら「2拍目・4拍目」にスネアが来ることが多いです。
→ ループ再生しながら、その位置にスネアを置いて合っているか確認していきます。 - ③ ハイハットでグルーヴを整える
→ 8分 or 16分で連続していることが多いので、まずはまっすぐ打ち込んでから、原曲に合わせて抜き差ししていきます。
ドラム打ち込みに落とし込む具体的手順
DAW上でのリズム耳コピ手順を、もう少し具体的に書いておきます。
- ① ドラム音源トラックを1本作る
- ② 1〜2小節分のMIDIリージョンを作成する
- ③ ループ再生しながら、キック → スネア → ハイハットの順で打ち込む
- ④ 音の長さ・ベロシティ(強さ)を原曲に寄せて微調整する
リズムは「完コピ」してみると、自分では思いつかなかった休符の入れ方や、少しズラしたタイミングが見えてきて、とても勉強になります。
毎日できる耳コピ練習メニュー
15〜30分でできるおすすめルーティン
最後に、DTM初心者の方でも続けやすい耳コピ練習メニューを紹介します。
- 1日目:好きな曲のサビから、1〜2小節だけメロディを耳コピ
- 2日目:同じフレーズのベースを耳コピ
- 3日目:コード(ざっくりでOK)を耳コピ
- 4日目:同じ曲の別の場所(Aメロなど)を1〜2小節耳コピ
- 5日目:簡単なアニソン・ボカロ曲など、別の1曲でサビだけ耳コピ
1回あたり15〜30分だけと決めてしまうと、心理的ハードルがかなり下がります。毎日少しずつ「耳の筋トレ」をしているイメージで続けてみてください。
モチベーションを保つためのちょっとした工夫
耳コピは、どうしても最初は時間がかかります。モチベーションを保つために、次のような工夫もおすすめです。
- 耳コピしたフレーズを、あとで自分のオリジナル曲に少しだけ応用してみる
- 「今日は1小節だけ」など、ノルマを小さく設定する
- 完成したら、MIDI or スクリーンショットを保存して「耳コピログ」を作る
こうして積み重ねた耳コピは、確実にあなたの作曲力・アレンジ力につながっていきます。
まとめ:耳コピは「作る力」に直結する最強のトレーニング
本記事の振り返り
今回は、DTM初心者向けに耳コピの基本的な考え方と具体的なやり方をまとめました。
- 耳コピは「短く区切る」+「メロディ → ベース → コード → リズム」の順で進めるとラク
- DAW側でループ・スロー再生・ピアノトラックを準備しておくと作業がはかどる
- メロディは「歌う → 鍵盤で探す → MIDIに打ち込む」の3ステップで進める
- コードは、まずベース(ルート)から取って、あとから和音を積み上げる
- リズムは、キック・スネア・ハイハットを分けて考えると聞き取りやすい
耳コピは、すぐに上手くなるものではありませんが、続けるほど必ず「聴こえ方」が変わってきます。焦らず、でもコツコツと続けていきましょう。
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