DTM初心者向け|曲作りが進まない原因と具体的な解決ステップ

DTM初心者向け|曲作りが進まない原因と具体的な解決ステップ

こんにちは、kawaharaです。

「せっかくDTMを始めたのに、いつも途中で止まって1曲完成しない…」というお悩み、とてもよくいただきます。実はこれ、センスや才能の問題ではなく、曲作りの進め方の「順番」や「ゴールの決め方」がふわっとしているだけであることがほとんどです。

この記事では、DTM初心者さんがつまずきやすい「曲作りが進まない原因」を整理しつつ、今日から試せる具体的な解決ステップを紹介します。料理でいうと「レシピの全体像」と「作りやすい下ごしらえのコツ」をまとめたようなイメージです。

なお、この記事は「DTM初心者向けスターターガイド」カテゴリの基礎記事です。まずはここで全体像をつかんでから、必要に応じて他の詳しい記事を読んでいただく流れを想定しています。

結論からお伝えすると、曲作りが進まない主な理由は「全部を完璧にしようとしすぎること」です。まずは「ゴールを小さく決める」「作る順番を固定する」「時間を区切る」の3つを意識するだけで、一気に完成まで進みやすくなります。

結論:完璧を目指すより「小さくゴールを決める」方が曲は完成しやすい

最初にいちばん大事な結論からお伝えします。

・1曲まるごと完璧にしようとすると、ほぼ確実に止まります
・「短いデモでもOK」という小さめのゴールを決めると、曲はどんどん完成します

イメージとしては、いきなりフルコース料理を作ろうとするのではなく、まずはワンプレートの「試作品」をサッと作ってみる感じです。味見をしながら「よかったら本格的に作る」くらいの気持ちで進めると、精神的にとても楽になります。

ここからは、曲作りが進まない典型的なパターンを原因別に分解しつつ、「こう考えるとラク」「こう操作すると進みやすい」という実践的な対処法を紹介していきます。

原因①:ゴールが曖昧で「どこまで作れば完成か」わからない

最初のつまずきポイントは、曲のゴールがふわっとしていることです。

「フル尺で3〜4分の曲を作りたいな〜」とだけ思っていると、

  • イントロを作り始めたけど、Aメロをどうつなげるか分からない
  • サビはあるけど、前後の構成が思いつかない
  • 結局「よく分からないまま」プロジェクトが放置される

という状態になりやすいです。これは、「何小節あればひとまず1曲としてOKか」が決まっていないから起こります。

まずは「30〜60秒のミニ曲」をゴールにする

DTM初心者さんには、最初のゴールとして「30〜60秒のミニ曲」を完成させることをおすすめしています。

例えばテンポ120の4つ打ち系なら、

  • イントロ:4小節
  • メインパート(サビ的な部分):8小節
  • アウトロ:4小節

合計16小節くらいでも立派に「1曲」として成立します。

Logic Proで「ミニ曲の型」をテンプレ化する手順

ここではLogic Proを例に、ミニ曲用の「型」を作る手順を書いておきます。

  • ① Logic Proを起動し、新規プロジェクトを作成します。
  • ② 画面上部の「トラック」メニュー → 「新規トラック」で、ドラム・ベース・コード用シンセ・リード用シンセなどのソフトウェア音源トラックを4〜5本だけ用意します。
  • ③ メインウインドウ上部の「小節表示」の部分で、16〜24小節程度まで見えるようにズームしておきます。
  • ④ トラック名を「Intro」「Main」「Outro」のようにメモ用リージョンで書いておくと、構成がイメージしやすくなります。
  • ⑤ この状態を「ファイル」→「テンプレートとして保存」で、『Mini Song Template』のような名前で保存しておきます。

毎回このテンプレートからスタートすれば、「どこまで作ればいいか」があいまいになりにくく、完成までの道筋が見えやすくなります。

原因②:8小節ループばかりで「展開の付け方」が分からない

DTM初心者さんがほぼ必ず一度はハマるのが、8小節ループ地獄です。

・ドラムもベースもコードも、なんとなくいい感じの8小節は作れる
・でも、そこから先に進めようとすると、「同じことの繰り返し」か「急に雰囲気が変わる」のどちらかになってしまう

これは「展開=全く新しいものを作る」と考えてしまうのが原因で、実際は元の8小節を少しずつ変化させるだけでOKです。

展開は「コピペ+差分」の考え方でラクに作る

展開作りのコツは、「完全新作」ではなく「コピペ+少し変える」ことです。

  • メロディ:2〜4音だけ違うパターンを作る
  • ドラム:クラッシュシンバルを足す/ハイハットのパターンを変える
  • ベース:リズムを少しだけ変える or オクターブを変える
  • コード:1小節だけ違うコードにする(サブドミナントを増やすなど)

これだけでも十分「展開っぽさ」が出ます。アニメの作画でいうと、「全部描き直す」ではなく、ベースの絵は同じで表情やポーズだけ変えるイメージです。

Logic Proで8小節ループから展開を作る具体的手順

Logic Proで、すでに気に入っている8小節ループができている前提で手順を書きます。

  • ① メインウインドウで、完成している8小節分のリージョン(ドラム・ベース・コードなど)をすべてドラッグで選択します。
  • Optionキーを押しながら右側へドラッグして、同じ8小節をコピペします。
  • ③ コピペした後半8小節だけを編集します。例えば、
    • ドラムトラック:一部のキックを削る/フィルを追加する
    • ベースMIDI:2〜3音を上か下にずらして変化をつける
    • コードトラック:最後の2小節だけコード進行を変えて「次の展開」に繋がる感じを出す

このように、「コピーした後半だけ、ちょっと変える」が展開の基本形だと覚えておくと、8小節ループから抜け出しやすくなります。

原因③:アレンジで迷子になって「音を足しすぎて」止まる

次のつまずきポイントは、アレンジです。ある程度ループができてくると、

  • どの楽器を足せばいいか分からない
  • トラックを増やしすぎて、逆にごちゃごちゃしてしまう
  • 「プロみたいな厚み」が出ないので、自信をなくす

という状態に陥りがちです。ここでも鍵になるのは、「役割で考える」ことです。

アレンジは「役割の5つの箱」に分けて考える

曲の中の音は、ざっくりと

  • ① リズム担当(ドラム、パーカッション)
  • ② 低音担当(ベース)
  • ③ 土台の和音担当(パッド・ピアノ・ギターなどのコード系)
  • ④ メインメロディ担当(リード、歌)
  • ⑤ 飾り・効果音担当(リードのオクターブ上、シンセのキラキラ、SEなど)

という5つの役割に分けて考えると整理しやすくなります。

まずは①〜④までが最低限そろっていればOKです。⑤の「飾り」は、余裕が出てきたら少しずつ足していくイメージにすると、音を詰め込みすぎずに済みます。

Logic Proで「役割ごとのトラック構成」を作る具体例

Logic Proでのアレンジ構成例を、実際のトラック名として書いてみます。

  • Drums - Main(キック・スネア・ハイハット)
  • Drums - FX(クラップ、ライザー、インパクトなど)
  • Bass - Sub(低音担当のシンセベース)
  • Chords - Keys(エレピやシンセパッド)
  • Lead - Main(メインメロディのシンセ)
  • Lead - Support(オクターブ上やハモり)

トラック数が増えてきたら、

  • トラックを選択 → 右クリック → 「トラックをフォルダスタックにまとめる」

などで「Drums」「Bass」「Keys」「Lead」ごとにまとめておくと、視覚的にも役割が分かりやすくなり、どこを足せばいいか、どこを引けばいいかが見えやすくなります。

原因④:時間がとれず「毎回1から考えて」しまう

最後の大きな原因は、「DTMに向き合う時間」と「取りかかるまでのハードル」です。

・いざパソコンを開くまでに時間がかかる
・久しぶりに開いたら、どこまで作っていたか忘れている
・そのたびに「今日何しよう?」から考え直すので疲れてしまう

というパターンに心当たりがある方も多いと思います。この場合は、「考える時間」と「手を動かす時間」を分けるだけでもかなり改善します。

「次回やること」をメモしてからDAWを閉じる

作業の最後に、必ず

  • ・次は「サビのメロディを8小節分作る」
  • ・次は「ドラムのフィルだけを追加する」

のように、「次回やることを1行でメモ」してからDAWを閉じるようにします。

Logic Proなら、

  • ① メモしたい位置に新規ソフトウェア音源トラックを1本作る(音は出さなくてOK)
  • ② そのトラック上に、空のMIDIリージョンを作ります。
  • ③ リージョン名をダブルクリックして「次回:サビのメロだけ作る」などと入力します。

次にプロジェクトを開いたとき、このメモリージョンを見るだけで「今日はこれだけやればOK」と分かるので、取りかかりのハードルがぐっと下がります

DTM初心者向け「今日からできる」曲作りルーティン

ここまでの内容を踏まえて、今日から試せる具体的な曲作りルーティンをまとめます。ざっくり、

【結論】
・ミニ曲(30〜60秒)をゴールにする
・8小節ループ → コピペ+差分で展開を作る
・役割でアレンジを考える
・毎回「次回やること」を1行メモして終える

という流れです。

1セッション30分のおすすめ作業メニュー

平日でも続けやすいように、「30分でできる作業メニュー」の例を作ってみました。

  • 【5分】前回までの状態を確認(トラックをざっと再生)
  • 【15分】今日のメイン作業(どれか1つだけ)
    • ・メロディを8小節分だけ作る
    • ・ドラムパターンを1セクション分だけ整える
    • ・コード進行をAメロ部分だけ決める
  • 【5分】簡単にバランスを整えて、ラフなバウンス(書き出し)
  • 【5分】次回やることをメモしてから終了

書き出したラフ音源は、スマホに入れておいて通勤中やスキマ時間に聴いてみると、「次はここを直したいな」というアイデアが自然と湧いてくるのでおすすめです。

「うまくいかない日」のリカバリー方法

どうしても何も思いつかない日や、作業が空回りしていると感じる日もあります。そんなときは、

  • ・既存プロジェクトのミックスバランスだけ整える
  • ・好きな曲の構成(イントロ何小節・Aメロ何小節…)を書き出してみる
  • ・コード進行やリズムだけを真似してミニループを作る

などの「頭をあまり使わない作業」に切り替えてしまうのも立派な前進です。スポーツでいうと、試合ができない日は軽くストレッチだけしておくイメージです。

まとめ:曲作りは「小さなゴールを積み重ねるゲーム」

この記事では、DTM初心者さんの「曲作りが進まない」お悩みを、

  • 原因①:ゴールが曖昧で、どこまで作ればいいか分からない
  • 原因②:8小節ループから先の展開が思いつかない
  • 原因③:アレンジで音を足しすぎて迷子になる
  • 原因④:時間・モチベ管理ができず、毎回1から考えてしまう

という4つに分けて見てきました。

大事なのは、「1曲まるごと完璧に仕上げる」よりも、「小さなミニ曲をたくさん完成させる」ことです。ゲーム感覚で「今日はここまでやったらクリア」と自分にとってのゴールを小さく設定していくと、気づけば曲のストックが増えていきます。

この基礎記事を出発点に、作曲の進め方・コード進行・アレンジの具体的な方法など、より詳しい記事もあわせて読んでいただけると、さらに曲作りがスムーズになるはずです。

「最近ちょっと止まってるな…」という方は、まずは30〜60秒のミニ曲1つを目標に、今日からゆるく始めてみてください。

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