Loopcloud|ゼロから1曲を仕上げる続編ガイド(アレンジ&仕上げ編)
こんにちは、kawaharaです。
この記事は、前回の「Loopcloud|実践編:実際に1曲を作る手順(ステップ別)」の続編として、同じプロジェクトを使いながら「ゼロから1曲」を最後まで仕上げるところまでを解説するガイドです。
前編では、Loopcloudのサンプルを使って「8小節ループ〜1曲のたたき台」を作るところまでがゴールでした。今回はその続きとして、アレンジを広げる・変化をつける・最終チェックをして書き出すという「仕上げ作業」にフォーカスしていきます。
イメージとしては、前編がお弁当でいう「ご飯とメインおかず」だとしたら、今回の続編は「彩りのある副菜・仕切り・盛り付け」を整えて、全体をおいしそうに仕上げるステップです。
難しい理論は後回しでOKなので、「この通りに触っていけば、なんとなく1曲として完成形になる」ことを目指して一緒にやっていきましょう。
まだ前編を読んでいない方は、先にこちらを確認しておくとスムーズです:
Loopcloud|実践編:実際に1曲を作る手順(ステップ別)
この続編で目指すゴールと全体の流れ
結論:Loopcloudで「8小節ループ」から本当の1曲へ
結論から言うと、この続編のゴールは前編で作った8小節ループを、Intro〜Outroまでの「1曲」として形にすることです。
そのために、以下の4つのポイントにしぼって進めていきます。
- ① 曲のセクション(構成)を決める
- ② Loopcloudからセクションごとにサンプルを足していく
- ③ 同じサンプルでも「変化」をつけて使い回す
- ④ キー・テンポなどを最終チェックして書き出す
やることは多そうに見えますが、どれも「コピペ・ミュート・フィルター」など、初心者でもすぐに試せる操作ばかりです。
理由:アレンジと変化が「曲らしさ」を作るから
理由はシンプルで、人が「曲っぽい」と感じるのは、同じループが続いているからではなく、少しずつ変化していくからです。
例えば、サビの前でドラムが一瞬止まるだけでも「ここから盛り上がるぞ」というワクワク感が出ますし、フィルターで高音を削るだけでも「だんだん開けていく感じ」が演出できます。
Loopcloudはサンプル素材集としてのイメージが強いですが、タイムストレッチ・ピッチ変更・FXの組み合わせを使うことで、アレンジの変化もかなり自在に作れるようになります。
手順の全体像(この順番で読めばOK)
この記事では、次のステップ順で解説していきます。
- Step1:前編の8小節ループを「曲の中心」として再確認
- Step2:曲のセクション(Intro/Aメロ/サビ…)を決める
- Step3:Loopcloudでセクションごとの素材を追加する
- Step4:フィル・ブレイク・FXでメリハリを作る
- Step5:キー・テンポ・音量を最終チェック
- Step6:書き出し&次の1曲へつなげるテンプレ化
気になるところだけ読みたい場合も、見出しごとに区切っているので、必要な部分から読んでOKです。
Step1:前編の8小節ループを「曲の中心」として再確認する
結論:一番「気持ちいい8小節」をサビ候補にする
まずは、前編で作ったLoopcloud+DAWのプロジェクトを開きましょう。結論としては、一番ノリが良く、ループしていて気持ちいい8小節を「サビ(コーラス)」の中心にするのがおすすめです。
もしまだ「どこが一番サビっぽいかわからない」と感じる場合は、一番音数が多くて盛り上がっているところを基準にすると、ほぼ間違いありません。
理由:サビを決めると他セクションの役割が決まる
サビを先に決めると、Introは「そのサビへ連れていくための道」、Aメロ・Bメロは「サビを気持ちよく聴かせるための準備」として考えやすくなります。
曲作りに慣れていないうちは、すべてをゼロから考えるよりも、「サビをゴールにして、前後を埋めていく」イメージの方が迷いにくくなります。
具体的な手順:DAW上でサビ候補をマークする
サビ候補が決まったら、DAWのマーカー機能を使って印をつけておきます(Logic Proを例にします)。
- ① 上のタイムライン部分をクリックして、サビの8小節を選択
- ② グローバルトラックの「マーカー」を表示(トラックヘッダ付近の「+」ボタンから追加)
- ③ 選択範囲上で右クリック →「マーカーを作成」→ 名前を「Chorus(サビ)」にする
- ④ 同じ8小節を、後でコピペして2サビ用に複製してもOK
ここまでできたら、「この8小節を気持ちよく聴かせるために、その他のパートを作る」という意識が持てればOKです。
Step2:曲のセクション構成を決める(ざっくりでOK)
結論:初心者は「王道の流れ」にそのまま乗る
ここでは、曲全体の「長さと並び」をざっくり決めるステップです。最初からオリジナルな構成を狙う必要はなく、以下のような王道パターンで十分です。
- Intro(4〜8小節)
- Aメロ(8小節)
- Bメロ or Pre-Chorus(8小節)
- サビ(8〜16小節)※Step1で決めた8小節
- 間奏 or 2A(8小節)
- サビ2(8〜16小節)
- Outro(4〜8小節)
この中から、「自分が無理なく作れそうな長さ」を選べばOKです。最初は2〜3分くらいの短め構成を目指すと負担が少なくなります。
理由:先に「枠」を決めた方がLoopcloud選びも楽になる
構成が決まっていると、Loopcloudのサンプルを選ぶときに「どこに使うか」がはっきりします。
- Intro用 → 音数少なめのパッド・ノイズ・FX
- Aメロ用 → ドラムは薄め、ベースも控えめ
- サビ用 → 前編の8小節ループを中心に、音数多めでOK
- Outro用 → サビの要素を少しずつ抜いていく
逆に、枠が決まっていないままサンプルを集めると、「いいループはあるのに、曲にならない」状態になりがちです。
具体的な手順:マーカーでセクションを並べる
Logic Proを例に、構成をマーカーで先に作ってしまう手順です。
- ① グローバルトラックで「マーカー」を表示
- ② タイムライン上をドラッグして4〜8小節分を選択
- ③ 右クリック →「マーカーを作成」→ 名前を「Intro」にする
- ④ 同じように「Aメロ」「Bメロ」「Chorus」「2Chorus」「Outro」を作成
- ⑤ Step1で決めたサビの8小節と「Chorus」のマーカー位置を合わせる
これで、まだ音が並んでいなくても曲の「箱」ができた状態になります。
Step3:Loopcloudでセクションごとの素材を足していく
結論:サビの素材を「引き算」して他セクションを作る
ここから、実際にLoopcloudを使ってセクションごとの素材を足していきます。とはいっても、すべて新しいサンプルを探す必要はありません。
結論としては、サビのサンプルから「音を引いていく」ことで、AメロやIntroを作るのがおすすめです。
理由:同じサンプルを使うと一体感が出る
曲の中でまったく違うサンプルばかりを使うと、初心者のうちは「別々の曲を並べたような印象」になりがちです。
一方で、サビと同じドラムループやパッドを、音量を下げたり、ハイハットだけ抜いたりして使い回すと、自然と一体感が生まれます。
具体的な手順:Loopcloudから素材を追加する操作
ここでは、前編と同じくLoopcloudプラグインをDAW内で使用しているケースを想定します。
- ① DAW上で「Intro」の小節範囲を表示する
- ② Loopcloudプラグインを開き、右上の「SYNC」ボタンがオンになっていることを確認
- ③ 左側のカテゴリから「Drums → Top Loops」などを選択
- ④ タグ検索欄に「intro」「ambient」「soft」などのキーワードを入れて試聴
- ⑤ 気に入ったループを見つけたら、「DRAG MIDI/ AUDIO」などの表示部分をDAWの対象トラックにドラッグ&ドロップ
このとき、サビで使っているドラムループの「キック抜きバージョン」や「パーカッションだけのループ」を重ねると、Intro〜サビのつながりが自然に感じられます。
また、Aメロ用には以下のようなバランスを目安にすると作りやすいです。
- ・ドラム:サビより1〜2トラック少なめ
- ・ベース:サビと同じフレーズでもOK(音量を少し下げる)
- ・コード:パッド系を中心にして、上もの(リード)はまだ出さない
Step4:フィル・ブレイク・FXでメリハリをつける
結論:小さな「スキマ」と「一瞬の無音」が曲の山場を作る
次は、サビ前後の盛り上がりを作るために、ドラムフィル・ブレイク・FXを足していきます。
結論として、サビ前の1〜2拍だけでも「音を減らす・止める」と、一気に曲らしさが増します。
理由:ずっと鳴りっぱなしだと、盛り上がりを感じにくい
人間の耳は、「静かな状態」から「音が一気に戻る」瞬間に強いインパクトを感じます。
そのため、サビに入る直前にドラムを1拍だけミュートしたり、逆再生FXやライザーを入れたりすることで、「ここからサビ!」というメリハリを演出できます。
具体的な手順①:Loopcloudでドラムフィルを探す
ドラムフィルをLoopcloudで探す手順はこんな感じです。
- ① Loopcloudの左メニューから「Drums → Fills」を選択
- ② タグ検索に「fill」「drum fill」「build」などを入力
- ③ 上部のBPM欄を、プロジェクトと同じテンポに設定(SYNCでもOK)
- ④ 1小節 or 2拍くらいの長さのフィルを試聴して、雰囲気が合うものを選ぶ
- ⑤ サビ直前の小節の最後にドラッグ&ドロップで配置
もしBPMがぴったり合わない場合は、Loopcloudの波形下にある「TIME STRETCH」や「PITCH」を調整して、DAWで鳴らしたときに違和感がないかチェックします。
具体的な手順②:FX(ライザー・インパクト)を足す
FX系のサンプルも、Loopcloudで簡単に見つかります。
- ① カテゴリから「FX → Risers」「FX → Impacts」などを選択
- ② タグ検索に「sweep」「rise」「impact」「hit」などを入力
- ③ サビ前4小節くらいから「riser(上がっていく音)」を配置
- ④ サビ頭の1拍目に「impact(ドンッという音)」を置く
- ⑤ 音量が大きすぎる場合は、DAW側で-6〜-10dB程度まで下げて調整
こうしたFXは、料理でいう「ソースやスパイス」のような役割で、少し加えるだけでも全体の印象が大きく変わります。
Step5:キー・テンポ・音量バランスを最終チェックする
結論:違和感があるサンプルだけ「微調整」する
曲の大枠ができてきたら、最後にキー(調)・テンポ・音量バランスをざっとチェックします。
すべて完璧に合わせる必要はなく、「ここだけちょっと浮いて聞こえるな…」というサンプルをピンポイントで直していけばOKです。
理由:初心者は「違和感があるところだけ直す」が現実的
音楽理論に詳しくなくても、耳で「なんか変だな」と感じるポイントは意外と分かるものです。
最初から全トラックを厳密に合わせようとすると、そこで時間と気力を使い切ってしまうので、まずは違和感のある箇所だけLoopcloud側でピッチや長さを調整するくらいの感覚で大丈夫です。
具体的な手順①:Loopcloudでキーを合わせる
キーの調整は、Loopcloud側である程度まで済ませることができます。
- ① Loopcloudで問題のサンプルを選択
- ② 波形の下にある「KEY」表示を確認(例:C、F#mなど)
- ③ プロジェクトのキー(例:F minorなど)と大きく外れている場合は、「+1」「-2」などPITCHノブを回してみる
- ④ DAW内で再生しながら、「違和感が少ない位置」を探す
キー合わせに特化した記事も別で用意しているので、より詳しく知りたい場合はそちらも参考にしてみてください。
具体的な手順②:ざっくり音量バランスを整える
ミックスは奥が深い世界ですが、最低限以下のポイントを押さえておくと、Loopcloudの素材同士でもだいぶ聴きやすくなります。
- ・キック・スネア:他より少し大きめ(メーターが-6〜-3dBあたり)
- ・ベース:キックより少し小さめ
- ・コード:ベース・ドラムより少し引っ込める
- ・リードメロ:サビではやや前に出るくらいの音量
- ・FX:インパクトは大きくなりすぎないように注意(-10〜-8dB目安)
ここではあくまで「だいたいバランスが取れていればOK」という気持ちで取り組むのがおすすめです。
Step6:書き出し&テンプレ化で次の1曲につなげる
結論:一度「仮完成」で書き出して、次の曲の土台にもする
最後に、完成したトラックを一度書き出して、スマホやイヤホンで聴ける状態にしておきましょう。
同時に、このプロジェクトをベースに「Loopcloud用の自分専用テンプレ」として保存しておくと、次の1曲を作るときにかなり時短になります。
具体的な手順①:Logic Proでの書き出し例
- ① メニューから「ファイル」→「バウンス」→「プロジェクトまたはセクション」を選択
- ② フォーマットは「WAV」または「AIFF」、解像度は16bit or 24bitを選ぶ
- ③ MP3でも確認したい場合は、「追加フォーマット」でMP3をチェック
- ④ バウンス範囲が曲の頭から終わりまでになっているか確認
- ⑤ ファイル名に日付やバージョンを入れて保存(例:loopcloud_zero2one_demo_v1)
書き出した音源をスマホに入れて、通勤中や家事中などに聴いてみると、「ここをもう少し変えたいかも」という気付きも得やすくなります。
具体的な手順②:テンプレートとして保存しておく
同じようなジャンルの曲を何曲か作りたい場合は、このプロジェクトをテンプレート化しておくと便利です。
- ① 不要なオーディオリージョンだけ削除(トラック自体は残す)
- ② バスルーティングやエフェクト設定は残しておく
- ③ Loopcloudプラグインもそのままインサートしておく
- ④ Logic Proで「ファイル → テンプレートとして保存」を選び、「Loopcloud_Zero2One_Base」などの名前を付ける
こうしておくことで、次に「ゼロから1曲」を作るときには、すでにLoopcloud用のトラックとエフェクト、バランスのとれたミックスの枠組みが用意された状態からスタートできます。
まとめ:Loopcloudで「1曲を作り切る」経験を重ねていこう
今回は、Loopcloudの使い方「ゼロから1曲」シリーズの続編として、前編で作った8小節ループを実際の1曲に仕上げる流れを解説しました。
内容をおさらいすると、ポイントは次の4つです。
- ・一番気持ちいい8小節を「サビの中心」として決める
- ・王道の曲構成(Intro〜サビ〜Outro)をマーカーで先に作る
- ・Loopcloudのサンプルは「引き算」と「変化」で使い回す
- ・キー・テンポ・音量は違和感のあるところだけ優先して直す
最初から完璧なアレンジやミックスを目指す必要はなく、「とりあえず最後まで1曲を作り切る」経験を重ねることが、上達への近道です。
Loopcloudは、サンプルを選ぶだけでなく、アレンジや曲の流れそのものを学ぶための教材としてもとても優秀なツールです。ぜひ前編とあわせて、何度か同じ流れを繰り返してみてください。
次の記事では、ジャンル別のタグや検索のコツ、MIDIやAI機能を使ったメロディ生成など、さらに一歩踏み込んだLoopcloud活用術も紹介していく予定です。

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